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反物質兵器とはエネルギーや推進剤又は爆発物にもなり得る、けた外れのパワーあるいは破壊力を有する兵器であって、SFなどのフィクションの世界でたびたび登場する。
しかし現実の世界においてもそれを実現させようという試みがすでに始まっている。
米国は冷戦の時代にはすでにその壊滅的な破壊力に着目し、軍事利用のための反物質関連の研究を助成してきた。
反物質は物質と衝突させると質量が100%エネルギー(高エネルギーのガンマ線)に変換できるため、その軍事的な利用価値は極めて高いからだ。
ちなみに、核融合反応を利用する水素爆弾はおよそ0.7%の質量エネルギー変換をしているに過ぎないことから、反物質を軍事利用した場合の威力がご想像いただけるであろう。
核兵器よりはるかに危険になりうるかもしれないこの兵器、果たして現状ではどれほど研究が進んでいるのだろうか?
反物質とは?
我々の周りの物質はいずれも原子からなるのはご存じのとおりだ。
どの原子も電荷を持たない中性子とプラスの電荷を有する陽子からなる原子核と、その周りでスピンするマイナスの電荷を有する電子から構成される。
水素や炭素、酸素などの種類の違いは原子核を構成している中性子と陽子、それに対応した電子の数の違いによる。
つまり物質とは全て陽子・中性子・電子から成り立っている。
一方の反物質とは、我々の知る物質に対して質量とスピンが全く同じだが、構成する素粒子の電荷などが全く逆の性質を持つ反粒子によって組成される。
例えば、電子はマイナスの電荷を持つが、反電子(陽電子)はプラスの電荷を持つ。
中性子と反中性子は電荷を持たないが、中性子はクォーク、反中性子は反クォークから構成されている。
反物質の原子核は外側を反電子たる陽電子に覆われ、反陽子と反中性子からなる「マイナスの原子核」であり、 こうした反粒子からなる物質が反物質と呼ばれるのだ。
反物質とは、宇宙の主要部分を構成する一般的な物質が「鏡面反転」された、反対の性質を持っている。
それを例えて言うと、鏡に映る自分が現実に目の前に現れたならば、その目の前の鏡の中の自分は左右が逆である以外は自分と同じ「反自分」と呼ぶのと同じなのだ。
この反物質は自然界にはほとんど存在しないが、その存在は1928年に物理学者のポール・ディラックによって予言され、20世紀を通じて研究が進んで、1995年には欧州原子核研究機構(CERN)とドイツの研究チームが反陽子蓄積リングによって陽電子と反陽子からなる9個の「反水素」の生成に成功。
この反水素は一億分の三秒で反陽子と反電子に分かれてしまったが、人類はすでに反物質を作り出すことができるのだ。
対消滅の効果
そして反物質は人類が発見した中で最も強力なエネルギー源であり、爆発物となり得る。
物質と反物質が衝突すると対消滅という現象を起こし、光子又は中間子となって巨大なエネルギーとなって放出されるからだ。
アインシュタインの相対性理論で有名な質量とエネルギーの関係を示す等式E=mc2によると、反物質は微量でも驚くほど大きなエネルギーを生成することができ、 100%の効率で放射状にエネルギーを放出する。
米国のランド研究所による反物質実験の報告書によると、1グラムの反物質と1グラムの物質が衝突して対消滅すると、放出されるエネルギーは5×107キロワット/時(約6メガワット/年)に達するという。
それは同じ質量での中性子とウラン235原子核の核分裂反応の約1054倍であり、セシウム原子核の核融合反応の約266倍のエネルギーに相当する。
したがって、反物質はエネルギー問題を決定的に解決する「エネルギー革命」を実現することができ、亜光速ロケットの推進燃料に利用することも不可能ではない。
だが反面、反物質を兵器として使用した場合には上記のとおり原子爆弾の1064倍、水素爆弾の266倍の超ド級の大量破壊兵器となる。
そして、その軍事利用に向けた研究はすでに始まっているのだ。
軍事利用
反物質の軍事的な利用方法は主に以下四つである。
第一に超高速ミサイルの推進燃料。
第二に宇宙軌道上の軍事ステーション、その他の分野での超小型・超軽量エネルギー発生器。
第三に水素爆弾を起爆するための「核トリガー」。
第四に任意に調整可能な反物質爆弾である。
米国を主とした西側の核保有国は、第四の反物質を弾薬として使用する反物質兵器に関心を持っているらしく1983年より、米国のランド研究所での実現可能性研究を開始しているという。
研究によると、100万分の1グラムの反陽子と陽子が対消滅(爆発)後に放出するエネルギーは37.8キログラムのTNT爆発物に相当する。
1グラムの反物質は約4万トンのTNT爆発物に相当し、これは広島に投下された原子爆弾のエネルギーとほぼ同じである。
また、数マイクログラムの反物質は、熱核反応のトリガーとして、あるいは強力なX線バーストまたはγレーザーを励起することができる。
反物質の量を調整することによって、威力も用途も変えることができるのだ。
米国国防総省は2008年9月、コードネーム「反物質特別攻撃2008」というコンピューターシミュレーション演習を行った。
その内容とは以下のものである。
201X年、一名の工作員が某極東大国の首都に反物質時限爆弾を持って潜入、首都中心部の同国軍参謀本部ビル近くの公衆トイレに反物質時限爆弾を設置する。
撤退後にその爆弾が爆発すると、同国軍参謀本部の建物と関連施設は跡形もなく灰燼に帰すが、その工作員が運んだ反物質はたった5000万分の1グラムである。
その後、反物質パルス爆弾が同国の電力・通信ネットワーク関連施設の上空で爆発、その瞬間から、同国の軍事・社会活動は完全に麻痺する。
演習の後、米国国防省の将軍は「反物質爆弾は数グラムで地球を破壊する」と驚嘆した。
西側ではかような性能を有する反物質兵器を第四世代の核兵器に分類している反面、恐ろしいことに「通常兵器」として通常の戦争や地域紛争で使用可能とみなしているらしいのだ。
反物質兵器の利点は、エネルギー密度が高く、起爆が容易であり、原子爆弾のように核分裂反応に必要な臨界量のために体積を減少させることができないことはなく、水素爆弾のように核融合反応に必要な高温を得るために原子爆弾による起爆もいらないなど数多い。
そして何より反物質爆弾が従来の核爆弾と大きく異なる利点は、水素爆弾と同等の破壊力を持ちながら爆発時に電磁波のみを発生させ、核放射を発生させないことである。
生物や植物を放射能で汚染しないため「きれいな水素爆弾」だからというのが「通常兵器」とみなしている理由だ。
その一方で、プリンストン大学高等研究所の歴史家で科学者のジョージ・ダイソンは、「クリーン」な反物質兵器は「汚い」核兵器より恐ろしいと指摘する。
実戦に投入される可能性がより高いからだ。
もしアメリカが反物質兵器を開発すれば、核兵器のような放射能汚染の心配がない分通常兵器として扱われ、米軍は戦場でより傍若無人になるだろう。
だが、幸いにもそれは今すぐではないようだ。
反物質兵器開発の前に、反物質自体の生成にはまだ越えなければならない技術的障壁があるからだ。
技術的難点
反物質兵器開発への最大の障害は、反物質の生産と貯蔵にある。
天然資源として埋蔵されているわけではなく、実用に十分な量の反物質を安価に生産する方法がまだないのだ。
既存の技術では、高価で大規模な粒子加速器を必要とし、大都市の総電力に相当するエネルギーを投入して、ようやく非常に少量の反物質が得られるか否かである。
現在最大の粒子加速器を使用するCERN(欧州原子核研究機構)でさえ、1グラムの反物質を生産するのに40億年かかる。
現代の科学技術では1000億分の1グラムの反物質を生産するのに60億ドルの費用が必要ともされる。
反物質の保存についても問題がある。
巨大な設備を必要とする強力な電磁界ではなく、ボトルに詰め込むなど小さなスペースに十分な量の反物質を保存する方法がまだないのだ。
また、物質と反物質が衝突することで起こる対消滅のメカニズム自体にも本質的な解明がなされているわけではなく、さらなる研究が待たれる。
仮に開発に成功したとしても、反物質爆弾の備蓄は技術的に難しいものになるだろう。
通常の核兵器であっても保管や安全性の確保が容易ではないのだ。
ましてや反物質は普通の物質ではなく、強力な磁場エネルギーによって閉じ込め続けなければならない。
この強力で断続的な磁場エネルギーは、より高度で信頼性の高い設備だけでなく、維持するための巨大な電気エネルギーも必要となる。
したがって、反物質爆弾の運用は容易ではない。
そして反物質爆弾の安全性の確保も問題となるはずだ。
巨大な技術的リスクがあり、一旦制御不能になると他国を攻撃する前に自国が消滅する。
反物質爆弾はTNT爆薬相当で1kgから1兆トンまで威力を調節することができるが、 地球自体をも破壊できるため、より大きな人類滅亡への脅威が一つ加わることを意味する。
近年の進展
反物質爆弾の開発にはまだほど遠いが、反物質に関する研究は21世紀になってからも着々と成果を挙げている。
2002年 欧州原子核研究機構で日本を含む国際共同研究実験グループが、5万個ほどの反水素の大量生成に成功。
2008年10月、米軍関連の研究者が100万分の1グラムの反物質を生成するコストを10億ドルから1憶ドルに削減する方法を発見。
2010年11月 欧州原子核研究機構で日本を含む国際共同研究実験グループが、反水素原子38個を磁気瓶に閉じ込めることに成功(反水素原子の存続時間は0.2秒間)。
2011年4月、米ブルックヘブン研究所(BNL)の実験により、これまでで最も重い反物質である「反ヘリウム原子核」が合成された。
10億回の金原子核の衝突によって生じた5000億個の荷電粒子の軌跡を調べたところ、その中で18個が、反ヘリウム原子核と思われる軌跡であった。
これ以上重い反原子核は生成確率が非常に低いため、現時点で人類が手にすることの出来る最も重い反物質である。
2011年6月、欧州原子核研究機構で日本の理化学研究所や東京大学含む日米欧などの国際共同研究実験グループが、反水素原子を1000秒以上閉じ込めることに7回成功。
2017年11月には、雷によって空気中で反物質が生成され、対消滅を起こしている事が報道された。
対消滅ガンマ線を検出した事が証拠とされる。
2020年3月、欧州原子核研究機構(CERN)は水素の反物質の双子である「反水素」を従来より長く閉じ込める方法を発見した。
反物質爆弾と我が国
反物質の研究が今後大いに進展して大量生産や備蓄ができるようになれば、有限で環境を汚染する化石燃料や危険な原子力に頼らなくてもより効果的な発電が可能となり、エネルギー問題はほぼ解決されるかもしれない。
亜光速ロケットの燃料とすることも夢ではない。
しかし反物質がエネルギー源として実用化されるようになった未来には、反物質爆弾も必ず開発に成功し、現実にある脅威として存在しているはずだ。
人類とはそういうものだ。
核兵器の恐ろしさを認識しながらも、開発研究を続けたように。
我が国は唯一の被爆国として、核兵器の廃絶を願っている。
しかし、核兵器は決してなくならないし、なくなるはずがない。
かような大量破壊兵器を、どの国も持っていなかったら自国は持とうとするし、
他国が持っていたら、なおさら強力なものをより多く持とうとする。それが人情だ、国際標準の。
その核兵器を廃絶させるのは無理にしても新たに開発するのを断念させ、あわよくば削減せしめるのは、核兵器を陳腐化させるほどのより効率的で破壊的な兵器の出現こそが現実的だと思わざるを得ない。
すなわち、反物質爆弾である。
我が国こそ、反物質爆弾を開発すべきである。
核戦争の悲劇はまず我が国で繰り返させないことから始めよう。
米国による核の抑止力以上の、自前で問答無用の抑止力を保有するのだ。
非核三原則や憲法第九条にはない圧倒的な凄みで仮想敵国ににらみを利かせ、平和を維持するだろう。
日本の国際的な地位も否応なしに上がる。
我が国がやらなくても、きっと他の国が開発する。
その国によっては取り返しのつかないことになるだろう。
他国が持つより我が国が持った方がはるかにましなはずだ。
国家百年の大計のためにも、反物質爆弾の開発と保有にまい進すべきである。
出典元―百度百科及びWikipedia
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