にほんブログ村
どの国にも悪い奴はいるように、近年日本に数多くやってくるようになったベトナム人も全てが、真面目で善良であるわけではない。
一部の不心得者がいて、グループで家畜窃盗をやったり、飲食店で集団乱闘したりするニュースが報道され、北関東では bộ đội(ボドイ、“部隊”の意)と呼ばれる犯罪集団が形成されているらしい。
そんな犯罪組織であるマフィアは、彼らの母国ベトナム社会主義共和国にも当然いる。
では、そんな本国のベトナムマフィアはどのようなものなのだろう。
チャイニーズマフィアなどと違って想像しにくいのではないだろうか?
そこで本ブログでは、日本で紹介されることの少ないベトナム本国のマフィアの実態について、ウィキペディアのベトナムの組織犯罪(ベトナム語版)を参考に取り上げて見たいと思う。
本稿が皆さんのご理解の一助になれば幸いである。
ベトナムの裏社会
ベトナムには「黒社会(Xã hội đen、サーフォイデン)」という言葉がある。
これは、おなじみ中国語における裏社会を指す言葉「黒社会(ヘイシャーホェイ)」と同じで 、文字通り犯罪者や犯罪組織で形成されるアンダーグラウンドな社会全体を指す語であり、元々は、1990年代に香港映画から入って来たのが定着し、現代ではメディアでも使われるようになった。
そしてベトナムの黒社会に棲息し、コソ泥から嘱託殺人まで非合法活動をする者たち「クマの頭(チンピラの意)」は、「兄弟姉妹たち」、「ナイフ」、「風来坊」などと多種多様な呼び名で呼ばれるが、やはり組織化されて一家を構えたマフィアが、その裏社会の生態系の頂点に君臨するのは、日本をはじめとした他国と事情は同じである。
そのベトナムのマフィアも当然構成員(dân xã hội đen)がいて、そのボスとして親分(Ông trùm)がおり、ボスの指令のもとで刃傷沙汰や銃撃事件、薬物や武器の密売、殺人、犯罪組織間の抗争を頻発させている。
ごく最近では、カイン・チャンやフック・ボーの組織の悪名が最も高いが、アメリカのマフィアや南ベトナム時代に悪名を馳せたナム・カムやダイ・キャセイの組織ほどの危険性や組織力はなく、半グレの域を出ていないようだ。
組織に属する手下たちは普段、バイクタクシーや運送業というまっとうな仕事をしていることが多いが、その裏で闇金や性風俗、用心棒、麻薬売買、武器の密売、サッカー賭博などの違法性の高い商売に手を染めている。
それら構成員は男女混成であり、女親分も少なからず存在する。
そして、甘言に釣られて加入してしまう未成年の学生も後を絶たない。
彼らはシノギのために徒党を組んで一般人を脅したり危害を加えることもするが、法律では解決できない一般人のもめ事を有料で収めることもする。
かつて、日本のヤクザもやっていた民事介入暴力のようなこともしているのだ。
もっとも、そのやり方はしばしば流血を伴うものであり、個人間や組織間の紛争が大掛かりな乱闘や殺傷事件に発展することも少なくない。
また、国をまたいで犯罪を行う外国人のマフィアもいる。
韓国人のソン・ムン・グルはハノイとブンタウの外国人クラブの雇われオーナーであったが、増長して本国からゴロツキを呼び寄せて組織を作り、同国人の投資家からゆすりたかりを行っていた。
各地での犯罪行為
2008年の統計によると、分かっているだけで 313 団体のマフィア組織が活動中である。
それらの団体は、犯罪組織のご多分に漏れず勢力争いや縄張りをめぐる抗争もあり、合法非合法を問わず、あらゆる事業体からみかじめ料を取っている。
そして、ベトナム国内において南部カインホア省ニャチャン市は危険な街としてイメージが定着しているようで、そうなったのは2005年10月から2006年7月までグエン・ゴック・タイン・ハンに率いられた武闘派組織が大暴れしたからだ。
このマフィアは殺傷事件を数多く起こし、特に同市のフン・ヴォン通りにあるマッサージ店に刃物や水中銃を持った数十人を暴れこませて従業員を追いかけ回し、店を破壊する大立ち回りを演じて有名になり、さらには、カインホア省の観光協会会長のボー・ディン・トゥー氏の殺害を5000万ドンの報酬で実行した事件をも起こしている。
それから後にもカインホア省のマフィア犯罪は猖獗を極め、警官射殺事件まで起こしたが、長いこと徹底した取り締まりが行われてこなかった。
中国との国境にほど近い北部クアンニン省でも、長年約100名の構成員を有するマフィアが君臨し、刃物まで使った暴行傷害事件や器物破損事件を起こして、現地の一般人を恐怖のどん底に叩き落としていた。
中央直轄市であるハイフォンのマフィアも危険なことで知られ、刃傷沙汰どころか銃撃事件が頻発している。
そして首都であるハノイにも、闇金や債権取り立てなどを主なシノギとするマフィアが存在し、彼らは近年、あろうことか強姦や売春をさせる目的で未成年を誘拐するようになっている。
仁義もへったくれもない連中だ。
しかし、手口が相当巧みなのか警察の怠慢なのか(あるいはビビっているのか)、その捜査はあまり進んではいないようだ。
こうして見てみると、ベトナムのマフィアは日本のヤクザほど大規模で組織化されてはいないが、犯罪行為の凶悪さが日本以上なのは間違いがない。
また取り締まる側の警察の取り締まりも十分とは言えないケースが多く、さらには、犯罪者と警察が癒着していることも考えられる。
ただ、現在のベトナムの治安の状況は1990年代や2010年代の中国の状況と似ており、中国においては、まがりにも社会が成熟して政府も取り締まりに本腰を入れるようになってから、かつてほど犯罪組織が公安と結託したりして大手を振って活動できなくなったようだ。
よって、ベトナムもこの治安対策において中国に学べば、大きな改善が見込めるのではないかとみられる。
出典元―Tội phạm có tổ chức tại Việt Nam(ウィキペディア)
関連するブログ:
- 資産ゼロ・無年金で東南アジアに移住した男のその後
- 資産ゼロ・無年金で東南アジアに移住した男のその後 2
- 2003年、西安の留学生事件:寸劇が引き起こした騒動
- ブラックホール爆弾の脅威:実現する未来
- 裏社会に潜むベトナムの犯罪組織 – ベドナムマフィア
- 怨みの時を越えて:中学時代の恩師に復讐した男 – 2018年中国河南省
- 裏切りの代償:中野区中国人留学生殺害事件(江歌案)
最近の人気ブログ TOP 10:
- 夢の国で起きた悲劇 ~ディズニーリゾートで心中した一家~
- 新潟六日町のトンネル事件:恋愛に狂った暴力団員の極限の嫉妬
- 知られざる女子高生コンクリ詰め殺人発覚当時の報道(後編)
- 仙台アルバイト女性集団暴行殺人
- 犬鳴峠リンチ焼殺事件 ~超凶悪少年犯罪~
- 浜田省吾ファン必見の聖地巡礼訪問地リスト
- 広島の魅力: 浜田省吾ファン必見のスポット
- 未成年に踏みにじられた25歳の純情 ―実録・おやじ狩り被害―
- R40、テルの今:城東工業高校の伝説のその後
- 高崎山の王・ベンツ ~ミスターニホンザルの生涯~
最近の記事:
- 複数の宛先に ping を打つことができる「fping」
- ネイティブの英語 7 “A cup of joe”
- 死刑確定囚・野比のび太 – 第二十三話・昇華するのび太の鬱屈
- 死刑確定囚・野比のび太 – 第二十二話・静の怒りと武の苛立ち
- 死刑確定囚・野比のび太 – 第二十一話・夫婦間の亀裂とのび太の影響
- 死刑確定囚・野比のび太 – 第二十話・のび太の初出勤: 恐れと葛藤
- 死刑確定囚・野比のび太 – 第十九話・ジャイアンとのび太の絆
- 死刑確定囚・野比のび太 – 第十八話・引きこもりの息子と家族のジレンマ
- 死刑確定囚・野比のび太 – 第十七話・ドラえもんと30歳ののび太の葛藤
- 死刑確定囚・野比のび太 – 第十六話・剛田商店の成長と静香の貢献