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思春期真っただ中だった中学校の頃、私は本気で異星人の地球侵略を心配していた。
あれから四半世紀以上たった現在では、さすがにあの時のような無意味で愚かな懸念はしていない。
だが、今でも異星人の存在は確信しており、歳を重ねて自分なりにある程度見識を深めた中年になってから、思春期とは全く違うことを考えるようになってきた。
それは、あのころとは全く逆のこと。
「地球に、どこかの異星人が攻めて来てくれないだろうか?」だ。
異星人の地球侵略待望論
なぜそんな考えを持つに至ったかと言うと、世界平和について私なりに思うところがあるからだ。
ご存じのとおり、2022年2月現在の世界も、相変わらず平和じゃない。
ウクライナとの国境沿いでは十万人のロシア軍が集結、軍事侵攻の危険性が高まってきているし、中国の台湾侵略の可能性だって指摘されている。
危機どころか、実際に内戦になってしまったシリアやイエメンではいまだに戦闘が収まる気配もない。
他にも南スーダンで、リビアで、アフガニスタンで、エチオピアで…。
いつも地球上のどこかで血なまぐさい戦闘や紛争、テロが起こり、人間同士の殺し合いが絶えることはない。
やったらやり返し、やってやったらやり返されるのループはズルズル続く。
当事者双方はもちろん譲る気なんてないし、国際平和の推進を目的としているはずの国連でも積極的に仲介どころか各国、特に大国がエゴを振りかざして問題が一向に解決しないことの方が多い。
そして、そのまま長期化して人が死に続ける。
なぜなんだろう?
背景にはいろいろな政治的理由やら歴史的な因縁だのもあるが、要はつまり、人類というのは敵を作って戦いたがる本能があるからじゃないだろうか?というのがまず一つ。
また、過酷な現実を正しい努力によって変えようとするよりも、誰かのせいにして、そいつを敵視して憂さ晴らしをする方をどうしても選んでしまうというのも一つだ。
特にこの特性は、民衆の不満が鬱積している国家や地域の指導者にとっては利用価値が大いにあり、誰の目にもわかりやすい敵を示してやれば、民の大多数が闘争本能をたぎらせて見事にまとまって支持が得られるという効能がある。
だからすぐに新しい敵が作られるし、昔の敵は敵のままであることが多い。
もちろん敵視された方も黙っていないから、争いの火種には事欠かないのだ。
人類は歴史上いつもそうしてきた。
現在もそうだし、しばらく先の未来もそうなることだろう。
世界は、いつまでたってもまとまらないし、人類皆兄弟なんて夢のまた夢だ。
だが、この悪しき特性により、昔から進んでいがみ合いたがる人類全員を、一致団結に導き得る条件が一つだけ考えられる。
それこそが、異星人の地球侵略だ。
全人類が団結した世界
共通の敵がいればまとまるのが人類なんだから、人間同士殺し合うことなく団結するには、人類共通の敵がいればよい。
環境問題とかは人類共通の課題だが、人類を団結させるには曖昧すぎて弱い。
コロナも人類共通の完全な「敵」だが、人類の闘争本能を熱く駆り立てるには不十分だ。
いつか勝てると達観してるフシがあるし。
それらの脅威はどちらかと言えば「問題」であって「敵」ではなく、大同団結に向けて全人類を動かすには、やはり明確な「敵」でなければならない。
その「敵」は目に見える形での他者、異星人であるのが一番分かりやすい。
異星人とは他の惑星に住む、すなわち地球に住んでいない完全なよそ者である。
そのよそ者の存在は、まず全人類にお互い同じ地球に住む地球人だという意識を否応なしに持たせるはずだからだ。
選べるはずはないけど、何十万年も進化してるようなのは地球人類に勝ち目はないから、千年か二千年くらい先を行ってる程度で、うまくやれば勝てそうなレベルのやつがいい。
もっとも、バカ正直に真正面から軍事侵攻をしてくるとしたら、そのくらいの中途半端に高度な種族であろうとも考えられる。
そんなよそ者が全人類を敵視して地球に攻め込んできたら、今までの因縁を忘れて人類は団結して戦うであろう。
ロシアもウクライナにかまっている場合じゃなくなるし、中国も台湾をいびるのは中止する。
アメリカも地球上ではNATO以外で最も頼りとなるであろう中国やロシアに歩み寄り、両国ももろ手を挙げて受け入れる。
NATO・ロシア連合軍だって高い確率で実現するはずだし、アメリカと中国も第二次大戦以来初めて全面的に手を組むだろう。
南アジア地区での戦闘に備えて、インド・パキスタン同盟軍が結成されるかもしれない。
韓国人が妄想してやまない韓国・北朝鮮合同軍だって夢じゃない。
イスラム国やタリバン、イランの革命防衛隊が異星人の宇宙戦艦に自爆攻撃を仕掛けるさまは欧米諸国の人々だって応援したくなるだろう。
異星人との戦闘で米英軍やイスラエル軍が惨敗したら、パレスチナ人やイラク人だって落胆する。
航空自衛隊が空中戦で異星人の円盤をバッタバッタ撃墜すれば、中国人や韓国人だって拍手喝采するはずだ。
もうそこには、人種も宗教も歴史的な因縁もない。
ロシア人とウクライナ人も、日本人と韓国人や中国人も、イスラエル人とアラブ人も。
白人、黒人、黄色人種も。
キリスト教徒、ユダヤ教徒、イスラム教徒、ヒンズー教徒も。
誰にとっても憎むべき敵に立ち向かうべく、全人類は共闘する。
平和ではないが、人と人とが大規模に殺し合わない、人類が一つになった世界が、ようやく実現するのだ。
そして勝利した暁には、全人類が勝者としてお互いを認め合い、くまなく歓喜に包まれ、人間同士が争わなくなった世界を目にすることができるであろう。
夢にまで見た理想的な世界じゃないか!
もっとも、敵である異星人がいなくなってしばらくしたら、それは長く続かないだろう。
しかし、地球人類は痛みを伴いつつ、同じ地球に住む者として完全に一つになったという素晴らしい初体験を確実に記憶することになるはずである。
それは良くも悪くも、今より明らかに大きく前進した世界となるのではないだろうか。
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