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1990年・ドラクエ Ⅳ 放火事件 ~ドラクエ熱で焼けた家~

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1986年(昭和61年)5月27日に第一作が発売されて以来、30年以上にわたり根強い人気のドラゴンクエストシリーズ。

発売されたばかりの数年、すなわち、ドラゴンクエストⅣまでのファミコン用ゲームソフトだった頃の人気ぶりはすさまじく、社会現象ですらあった。

そして、その人気の過熱ぶりから、さまざまな騒動も起こっていたという。

発売当日は販売店に長蛇の行列ができて、その日のうちに完売するだけならまだしも、平日で学校があるにもかかわらず、その行列に並ぶ小中学生が少なからず現れた。

さらには、ドラクエを買い求めた彼らを、その帰り道に襲って奪い取る不良少年まで現れるなど、ちょっとした社会問題になってもいたのである。

シリーズ四作目である『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』が発売された1990年(平成2年)2月11日、前回のような問題や混乱を避けるために発売日を日曜日とし、初日に130万本を用意したが、初日に長蛇の列ができて瞬く間に完売。

やっとの思いで買ったドラクエをカツアゲされる小中学生も案の定続出し、発売日には全国で60件近い被害が報告されている。

製作したメーカーのエニックス(現スクウェア・エニックス)にとってはドラクエ様様

で笑いが止まらなかったであろうが、カツアゲされた少年たちにとっては、ドラクエⅣのおかげでとんだ災難に遭ってしまったことであろう。

だが、このドラクエⅣのせいでカツアゲをはるかに超える犯罪に巻き込まれてしまった人もいた。

その人々は、ドラクエにはまったバカ息子によって自宅が燃えてしまったのだ。

バカ兄弟

ドラクエⅣがリリースされて間もない1990年2月14日午前11時ごろ、愛知県大府市森岡町の武田和之(仮名・51歳)宅の二階で、留守番をしていた武田家のバカ息子二人がケンカを始めた。

ケンカの原因は、ドラゴンクエストⅣ。

長男が買ってきたドラクエを次男が借りようとしたのだが、自身の部屋でドラクエをプレイ中であった長男が、断固拒否したからだ。

「何でやらしてくれんのだて!」

「俺がやっとるが!」

「ちょっとだけだて!ちょっとくらい、やらせてくれてもええがや!」

「おめえ、いっつもなかなか返さんがや!昨日かて、夜遅うまでやりよってよ!」

「すぐ返すて!おめえばっかやってセコイぞ!」

「俺が買ったんやぞ!俺のモンだに!!」

断っておくがこの二人、子供ではない。

ドラクエを貸そうとしない長男の武田亘(仮名)は20歳、借りようとしている次男の満(仮名)は19歳。

年甲斐もなくドラクエにハマるばかりか、それをめぐって兄弟げんかになるくらいなんだから、あまりデキのいい兄弟でないのは間違いない。

それが証拠に、20歳の満は無職のためにいつも家でブラブラし、次男の満は働いていたがこの日は仕事をさぼって家にいた。

ヒマ人は、ろくなことを考えない。

何が何でもドラクエをやりたい弟と、断固貸す気のない兄のレベルの低い口論は延々続いたが、やがて頭に血が上った弟の満は階下に降りて行った。

あきらめたのではない、わからずやの兄貴に思い知らせてやろうとしたのだ。

満が向かったのは台所。

普通のバカなら包丁を手にして兄貴を刺しただろうが、こいつは普通のバカではない。

二階に上がって来た満の手には、油をしみこませたティッシュを巻き付けたフォークが握られており、亘の部屋に入ってそのフォークに火を点けて、部屋にあった布団に放り投げた。

腹いせに兄貴の部屋を燃やしてやろうというのだ。

だが、そんなことをしたら、一つ屋根の下の部屋に火をつけたら自分の部屋も含めて家が全焼する可能性があるのが分からないのだろうか?

こいつは、バカというレベルではない。

そして亘の方も、相当なものであった。

自分の部屋の布団に火がつけられ、煙を上げているというのに再び食ってかかってきた弟と、「貸せ」「貸さない」の不毛な押し問答を再開したのだ。

その間にも布団の火は燃えあがっていたのだが、機能が劣悪な頭に血をのぼらせて同じく熱くなっている二人はおかまいなし。

バカ二人がようやく兄弟げんかしている場合じゃないと悟った時には、火が手の施しようがないほど広がって周りは煙だらけ。

この時になって、ようやく身の危険を感じた二人は階下に逃げて無事だったが、結局、火は亘の部屋どころか満の部屋にも燃え広がり、二階部分を全焼させるほどの火事になってしまった。

ドラクエ無罪

信じられないことだが、満も本当は兄貴の亘にだけ仕返しするつもりで火を点け、ここまでの火事になるとは思っていなかったようである。

その日のうちに、放火の現行犯で愛知県東海署に逮捕された満は「ついカッとなって」と供述していたが、ついカッとなっても、ここまでのレベルのことをするバカはそうそういない。

そんな稀代のバカの満の人となりについて、近所の住民によると、「短気なところはあったがおとなしい人」と、要するに普段はおとなしいが、キレたら何をするか分からない男という印象ではあったようだ。

また、育ての親である武田夫妻も自分の子供の出来の悪さが分からなかったようで、車もバイクも自分の給料で買っていることを理由に「いい息子だ」と自慢していたらしい。

どうりで、こんな息子たちが育つわけである。

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ドラクエ発売日の騒動が問題視されていた当時の新聞報道では「ドラクエ騒動ついに放火」とされ、一部の識者は紙上で「人間関係より孤独な世界を求める若者が増え…現実的努力を避ける傾向にあるのでは」として、この事件を加熱しているブームを反省する機会とすべしとの意見を述べている。

だが、ドラクエに罪はないであろう。

いつの時代にも、救いようのないバカというものはいるものであり、間違いなく、この事件はそれに該当する者によって引き起こされたに過ぎないわけで、ドラクエの問題でも社会の問題でもなかったはずだ。

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出典元―毎日新聞、中日新聞

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