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『女子高生が、写真館でヌード写真を撮影させて少なからぬ金銭を受け取っており、その数は二百人余りに上ることが判った』
貞操の価値が暴落してから久しい。
九十年代にはすでに援助交際と称して女子高校生が売春を始めていたから、ヌード写真を撮影させていたなんて「何だ、その程度か」感すらある。
しかし、これは平成や令和の世で起きたことではない。
昭和も昭和、それも昭和2年(1927年)5月の新聞報道なのだ。
昭和2年なんて、戦前どころか限りなく大正時代に近い大昔。
まだ軍部が健在で、未成年の明治生まれがいて、江戸時代生まれすらゴロゴロいた時代。
貞操観念が現代とは比べ物にならないほど堅かったはずである。
にもかかわらずヌード写真を撮影させていたのは、よりによって家柄も懐具合も立派な家庭出身で、厳格な躾を受けてきたはずの名門お嬢様学校の生徒ばかり。
そんな嫁入り前の御令嬢たちが、小遣い銭欲しさに易々と自分のヌードを他人にさらしていたのだ。
戦後、生きるために米兵に体を売っていたパンパンならともかく、食うに困らない名門のお嬢ちゃんたちが遊ぶ金欲しさでそんなことをやっていたなんて、援助交際やってた平成の女子高生とほとんど変わらない。
今も昔も、ヒトの考えることは同じということなんだろう。
でも ちょっとうれしくならないか?
君子然とすました顔で写る白黒写真の中の人たちが、ヘラヘラとスマホで自撮りしている現代の我々と同じく生臭いことを考えていたことが分かると。
出典:毎日新聞社『昭和史全記録』より
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