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列島を凍り付かせた未成年たちの凶行5~ 1988年・名古屋アベック殺人事件~第五話


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第一話 事件の始まり

第二話 大高緑地公園事件

第三話 まず、昭善が殺された

第四話 弄ばれる命

第五話 犯人逮捕とその後

逮捕された鬼畜たち

小島ら5人は、25日5時ごろには名古屋市内に戻り、犯行に使ったロープや被害者の衣服・免許書など足、がつきそうな物をすべて川に投棄。

殺害現場にいなかった近藤とも会って、逃走方法や捕まってしまった場合の対策などを話し合っていたが、捜査の手は予想外に早く彼らのもとに迫っていた。

大高緑地公園の事件で被害者の車のバンパーに小島の車の塗装片が付着して車種が知られていたし、何より23日に愚かにも、被害者二人を連れてホテルで休憩した際に怪しんだ従業員に車のナンバーを控えられていたことが決定打となる。

従業員が、同日中にそのナンバーを警察に伝えたために、車両まで特定されていたのだ。

小島の車は、翌26日昼過ぎには港区や緑区をしらみつぶしに捜索していた警察に発見される。

発見現場近くには、近藤の住むアパート。

ちょうどそのころ、高志をのぞく犯行グループ5人は、その部屋で事件を報道する新聞を読んだり、逃走先などについて話し合いをしていた。

だが、車が発見されてから間もない午後2時、部屋に緑署の捜査官が乗り込んできて万事休す。

任意同行を求められた5人は、逃走のための身支度をしている最中だった。

捜査本部に身柄を移されて強盗・逮捕監禁などの容疑で取り調べを受けた彼らは、同日中に金城ふ頭や大高緑地の事件についてや拉致されたカップルを殺害したことまで自供。

翌27日未明、強盗致傷・殺人・死体遺棄の容疑で逮捕された。

ちなみに、近藤の部屋には行かずに行方をくらましていた高志も、翌28日には身柄を確保されている。

逮捕された小島茂夫

昭善と須弥代の遺体は26日16時、彼らの供述どおり三重県の山中で発見され、それを伝える報道は日本全国に衝撃を与えた。

犯行にいたる過程も含めて、それまでの未成年による犯罪の中では前代未聞の凶悪さであり、このような連中は厳罰に処すべしという怒りの声が巻き起こる。

死体発見現場

反省なき犯人たち

当時、犯行自供後に犯人たちは涙を流したと、あたかも反省しているような報道をしていたメディアもあったが、実際は全く反省のそぶりが見えなかったようだ。

というか、ふざけていた。

だいたい、6人とも取り調べで自分は主犯じゃないと罪の擦り付け合いをしていたし、責任を感じていないばかりか、他人事のようであったという。

逮捕後に緑署から名古屋少年鑑別所に収容された小島なんぞは、他の共犯者たちと別々に拘置されながら互いに手紙のやり取りをしていたが、その中には反省の言葉はなかったし、「未成年だから大した罪にならない」とか「刑を終えたら筒井と結婚する」と堂々公言。

法廷でも「刑期を終えたら筒井と結婚する」と、カップルを殺したくせに話していたこともあった。

反省していないことは後の名古屋地裁  でも、「少年鑑別所において、反省しているとは思えぬ態度が散見された」と指摘されていることから明らかである。

その他の共犯者も、話にならない奴が多かった。

徳丸や近藤も少年鑑別所で官本に落書きし、職員から注意を受けても反抗的。

龍造寺は少年鑑別所でふんぞり返った言動をし、筒井は少年鑑別所で他の共犯者から呼びかけられるや嬉しそうに応答、龍造寺に窓越しに話しかけて注意を受けたりしていたし、逮捕されたばかりのころは小島と結婚するつもりだと話して、彼氏同様胸糞悪い相思相愛ぶりをさらしている。

裁判になっても彼らの態度は変わらず、犯人の中には公判中に居眠りを始める者まで出る始末だった。

ただでさえ極悪な犯罪を犯しておきながらこの態度では、判決に影響しないはずはない。

小島は何年かしたら出られると思っていたようだが、1989年6月28日に開かれた判決公判で下された判決は死刑(求刑どおり)、求刑どおりになるとは思っていなかった分、これにはかなり動揺したようである。

共犯者については徳丸が無期懲役(求刑どおり)、高志が懲役17年(求刑:無期懲役)、近藤が懲役13年(求刑:懲役15年)、龍造寺と筒井は5~10年の不定期刑(求刑どおり)であった。

昭善と須弥代の両親はもちろんのこと、彼らの凶悪さを身を持って心に刻んでいる金城ふ頭の被害者カップルたちも犯人全員の厳罰を望んでいたが、小島と徳丸はともかく他の共犯者たちの刑は軽すぎるといわざるを得ず、二人の両親はさぞや納得できなかったことだろう。

小島と高志も、この刑に納得していなかった。

あろうことか、重すぎると控訴したのだ。

他の共犯者は控訴しなかったので刑が確定したが、小島たちは途中で弁護人を解任するなど往生際悪く裁判を続け、1996年12月16日の名古屋高裁における控訴審判決公判で原判決が覆され小島は無期懲役、高志は懲役13年に減刑され、のうのうと死刑を回避することに成功してしまった。

高志健一

被害者遺族の無念

野獣たちによる理不尽で陰険な殺人事件は、他の殺人事件同様、被害者遺族のその後の人生も狂わせていた。

昭善の父親は名古屋市南区で理髪店を経営していたが、跡取りとなる予定の息子を殺され、改装したばかりの店を閉店、家族とも離散してしまう。

自動車部品会社で働いていたものの、事件で生きる気力を失っており、事件から3年後の1991年3月、中村区内のアパートで孤独死している。

母親は『中日新聞』の取材に対し、犯人たちを「息子を返してくれない限り、絶対に許すことはない」と語っており、主犯の小島から届いている謝罪の手紙も「中身が毎回同じだ。いつも捨てている」と、息子を殺した犯人たちへの厳しい態度を変えていなかった。

須弥代の両親は事件後、それまで住んでいた家を売却。

母親は1997年11月に病死した。

須弥代の父親は控訴審の公判中、自分が生きている間は犯人たちを憎み続けていくだろうと述べ、その後の週刊新潮の取材では、以下のように答えている。

「娘は病気で亡くなったと思おうとしているのです。私に親や親戚がなく天涯孤独の身であったら、犯人たちを殺していたでしょう。犯人に更生の可能性があるというけど、生きていれば幸せな将来が待っていたはずの娘たちは、その将来を突然断ち切られてしまったのですよ。いまの少年はずるい。少年法で守られていることを知って、平気でああいうことをするんです。私は孫たちに、やられそうになったら遠慮せずにやってしまえといっているんです。うまくいけば正当防衛、悪くても過剰防衛で、いつかは刑務所から出てこられますから」

また、父親は2003年までに服役中の犯人たちから謝罪の手紙を複数回受け取り、犯人たちに励ましの言葉をかけたりしていた。

しかし、この寛大な父親の気持ちを犯人たちの大半は裏切ることになる。

「もう終わったこと」と決め込む犯人たち

獄中の小島

誰も死刑になっていないし、主犯格以外の刑が軽すぎる判決は後味の悪い結果であったが、無期懲役となった小島は、現在も刑務所から出られずにいるから、まだ報いは受け続けていると言える。

その間に、小島は事件を起こしたことを深く反省するようになっており、模範囚として服役して被害者の冥福を祈るなど、犯した罪に向き合っているようだ。

彼の両親も、昭善と須弥代の両親への損害賠償金の支払いを完了し、息子の犯した罪の責任を果たしている。

獄中の徳丸

問題は他の奴らだ。

徳丸は、小島同様未だシャバには出られていないが、一切遺族に謝罪していないし、その親は一回も公判に姿を見せなかったばかりか、賠償金の支払いにも応じていない。

高志、近藤、龍造寺、筒井の親たちも似たり寄ったりで、親権を放棄したとかで支払いを拒否したり、未完済の者が多かったのだ。

すがすがしいほどの「この親にしてこの子あり」ぶりである。

もちろん出所した本人たちは出所後に行方をくらまし、賠償金を支払うことなくのうのうと結婚したりして、意外と普通の生活をしているから頭にくる。

彼らのうち、近藤も2000年に出所後に中国地方の都市に移り住み、結婚して娘をもうけて産廃の仕事をしながらも賠償金をビタ一文払わずにいたところ、2003年にフリーのジャーナリストに居所を突き止められ、その取材に応じて以下のように言い放った。

「事件にばかり引きずられていてもアレでしょう、前に進めないと思う」

「娘が同じ目にあったら許さないと思う。許さないんじゃないでしょうか」

「賠償金については親が示談したが、親とも連絡をとらなくなって、忘れてるというか、それで終わってる」

「被害者の墓参り?行く時間がないので難しいね」

生かしておけないくらい腹が立ったのは、筆者だけではないはずだ。

犯罪者なんて、そんなもんであろう。

その場では反省したとしても、徐々に「あれは、仕方なかったんだ」とかの言い訳を自分で作り上げ、最終的には「もう終わったことだ」という結論にいたり、何食わぬ顔で通常の暮らしに復帰している。

これを見る限り、現実の日本社会は犯ったもの勝ちとしか思えないではないか。

犯罪者を反省させなくてもいいが、後悔だけは十分させる必要があると信ずる筆者は、犯した罪の重さを否応なく知らしめ連中が自殺したくなるような厳格なシステムの構築を切に願っている。

出典元―中日新聞、ウィキペディア、週刊新潮、週刊文春

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