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タミヤの『楽しい工作シリーズ』をご存じだろうか?
総合模型メーカーとして世界的に有名な株式会社タミヤが1971年から販売する児童向けの動く模型工作のシリーズ製品だ。
同シリーズは、あらかじめ必要なパーツや組み立て説明書を揃えたダンプやフォークリフト、バギーなどの組み立てキットから、本格的な工作・開発に使えるパーツ物までを含んでおり、これまでに200種類以上が販売されている。
また時代とともに進化を続けた製品をリリースしており、ソーラーパネルを含むものや、近年では『カムプログラムロボット工作セット』のようにプログラミングの要素を含んだものまで登場している。
それは子供に動力や機構への理解を深めさせ、創造力をはぐくませるのに最適の製品シリーズの一つといっても過言ではなく、小学校時代に夏休みの工作や自由研究でお世話になった方もきっと多いはずだ。
これによってモノを作ったり機械をいじったりする楽しさを知り、その方面の道に進むきっかけとなった方も少なくないだろう。
反面、どうしてもうまく作れずに自分の不器用さを呪い、自分はこの方面に才能がないことをトラウマ級で思い知らされた方もいらっしゃるはずだ。
私のように。
自称科学少年
『楽しい工作シリーズ』とのファーストコンタクトは小学校四年生の時だった。
当時学校では四年生以上を対象にクラブ活動の時間が設けられており、生徒たちは「お料理クラブ」や「サッカークラブ」など自分の趣味・嗜好に合ったクラブに加入して活動していた。
私が入ったのは「科学工作クラブ」、モーターやギアなどの機械的動力を用いた工作を目的としたクラブだ。
「科学工作クラブ」では主にタミヤ(当時の社名は田宮模型)の『楽しい工作シリーズ』の組み立てキットやパーツを使って車やロボットを作っていた。
私が「科学工作クラブ」に入ったのは、世界の偉人伝で「エジソン」や「ライト兄弟」、「フォード」などを愛読していたことが大きい。
それに影響を受けた私は自分も機械をいじりたくなり、我が家の家電製品を勝手に分解しては修理不能にし、そのたびに親に折檻を加えられていた。
それでも機械いじりの誘惑に勝てなかったため、今度は作る方に回ろうと考えたのだ。
それに、段ボールや紙をハサミやカッターで切ったり、のりやセロハンで貼ったりの工作は三年生以下のガキの図工だ。
一方で乾電池やモーター、ギアなどで自動的に動くものを作るのは大人の図工である、というのが小学四年生だった当時の私の認識である。
こうして私は「大人」の仲間入りをすべく、「科学工作クラブ」に加入した。
楽しい工作シリーズの洗礼
クラブ活動が始まって、顧問の先生から与えられた工作のお題は組み立てキットを自由に選んで作れ、というものだった。
一緒に入った同級生たちはこういったモーターだのギアだのを使った科学的な工作をやるのが初めてな者が多く、買ってきたのは自動車工作基本セットなどの構造が単純でひかえ目なもの。
私が買ってきたのは『F1工作基本セット』。
値段も工作の難易度もやや高めだったが、完成した後スピードで他の生徒の作品を圧倒してやろうという小癪な考えを持っていた。
これは科学工作とは関係ないが、私自身が非常に見栄っ張りで自分の実力をはるかに超えて背伸びしたがる性格に起因する。
それに私は今まで、家電製品の分解を経験するなど機械をいじることに慣れているという自負があった。
そんな玄人はだしの私が、ド素人の同級生たちと同じレベルのものであっていいはずがない。
だが、間違っていた。
私は分解して壊すことには慣れていても、組み立てて作ることには慣れていなかったのだ。
そう言えば、この当時の何年か前に流行ったガンダムのプラモデルも、まともに完成させたことがない。
並外れて不器用だし、より致命的なのはパーツをしょっちゅうなくすからだ。
その時も私はやらかした。
よりによってギアを軸に固定するための重要なパーツをなくしてしまったのだ。
結果、スイッチを入れてもモーターだけが空回りし、私のマシンはピクリとも動きやしない。
五年生や六年生の先輩に泣きついてみたが「この部品なくしたらだめだ」とさじを投げられ、次から次へと完成させて「動いた動いた」とはしゃぐ同級生たちの中で、作品が最後まで可動しなかったのは私だけだった。
二学期に顧問から出たお題は自由作品。
組み立てキットではなく、バラでパーツを買ってきて創意工夫して車を作れというものだった。
私は一学期の雪辱を晴らし、皆をあっと言わせてやろうと燃えていた。
構想していたのは、何と八輪駆動のモンスターマシン。
四輪駆動なんてけち臭いこと言わずにゴージャスに行こうと考えたのだ。
八輪駆動なんてどんな機構が必要なんだろうか?
何のことはない。
四軸すべてに動力をつければよいと考えたのだ。
つまり、モーターとギアをすべての車軸に取り付けようとしたのだ。
動力も四つあれば、スピードも四倍。
いかにも頭の悪い小学生が考えそうなお粗末な構想だった。
かくして、長めの板にゴテゴテと動力や乾電池ボックスを装着したグロテスクな八輪車が出来上がった。
それは科学工作というより前衛芸術作品のようであり、
作者はピカソ、作品名は『ゲルニカ』という感じの見た目であった。
これで曲がりなりにも動けば多少はよかったのだが、
それぞれの車軸に動力を設けたために動力が干渉し合って動かないという当然の結末を迎えた。
「お前の作った車、また動かねえのか」
「だせえな。不器用すぎだろ」
私以外も頭の悪い小学生ばかり。
前回に引き続き、またしても失敗作を作った愚か者を見て見ぬふりするわけがない。
私は『科学工作クラブ一不器用な男』の烙印を押されたばかりか、
不器用ぶりがクラスにも広められて語り草にまでされてしまった。
タミヤの割礼~己を知れ~
小学四年生だった私は科学工作クラブにおいて、
「動力とは何たるか?」
「動力にはいかなる機構が必要か?」
「自動車のしくみとは?」
を自らの尊厳を犠牲にして知ったのだった。
何より自分にはモノを作る才能が全くないことも。
すべてタミヤの『楽しい工作シリーズ』が教えてくれた。
今から思えば、これも模型メーカー・タミヤの社会貢献の一種なのかもしれない。
タミヤは『楽しい工作シリーズ』を通じてモノ作りの楽しさを数多くの子供たちに教え、将来モノ作りを担うことになる人間をはぐくむ一助も果たしてきた。
同時に
才能がない者に己の不器用さを心に刻み込ませ、
将来的にモノづくりの現場から排除し、
彼らがもたらすであろう欠陥品による事故から社会を守る役目も果たしているのだ。
何とも見上げた理念じゃないか!
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