カテゴリー
2024年 いじめ 事件 事件簿 悲劇 本当のこと 東京 死刑確定囚・野比のび太 無念 葛飾区

死刑確定囚・野比のび太 – 第九話・中学校生活の悲惨な真実


にほんブログ村

11月の惨劇

真夜中の東京拘置所の単独室、眠れない死刑確定者の野比のび太は社会からはじかれることになった中学一年生の13歳の時を思い出していた。

あれさえなければ、そもそもここにいることはなかったと毎日欠かさず思い出しては、歯ぎしりする思い出である。

約三十年前、彼の入学した月見台北中学校は部活動加入が必須な中学校で、のび太はテニス部を選んだ。

小学校のころから憧れていた源静香が入部したと聞き、それだけが理由だった。

彼女の優雅にラケットを振る姿を思い浮かべ、自分も同じコートでプレーする未来を想像して、胸を高鳴らせていたものだ。

だが、それが間違いだった。

現実は、のび太の期待を無惨に打ち砕いたのである。

のび太は運動音痴であることを自覚していたが、ここまでとは思っていなかった。

テニスの基本的なフォームすらまともに身につかないのび太は、練習の輪に加わることさえできず、コートの端で球拾いを命じられる日々が続く。

コートに立つのは、ボールを拾って先輩や同級生に渡すときだけ。

プレーを許される機会は、一向に訪れやしない。

そして教室と同じく、同級生の部員たちも一向に上達しない彼をからかい、バカにしていた。

静香も最初はのび太同様球拾いだったが、夏休みの前くらいにはラケットを握り始めるようになっており、のび太の視線に気づいても、すぐに何事もなかったかのように練習を続けている。

それでも、のび太は静香の姿を見るためだけに、必死で部活に通い続けた。

だが、寒くなり始めた11月の放課後の練習で、それは起こる。

中学校の体操服である上下の青いトレーナーに着替えていたのび太のもとに、月見ヶ丘第一小学校出身の男子数人がやって来た。

普段からのび太をからかうのを楽しんでいた彼らだったが、この日も同じことをするつもりだったのだ。

「おい、野比。また役立たずの球拾いかよ?」

「そのへっぴり腰で、テニスなんかやれると思ってんのか?」

彼らの心ない言葉に、のび太は無視を決め込もうとしたが、その日の悪ふざけはいつもの程度では済まなかった。

「今日は特別なことをしてやる」

男子たちの目つきが変わり、一人がのび太の胸倉を掴んで、練習の準備が始まろうとしていたコートまで引っ張ってゆく。

「な、なんだよ!」

のび太が怯えた声を上げるも、彼らは笑いながら言葉を続けた。

「お前の息子、みんなに見せてやるんだよ」

彼らのうちの一人が力ずくで、のび太の両腕を後ろ手にねじ上げ、何とズボンを下ろし始めたのだ。

その瞬間、遠くから大勢の女子生徒とともに静香が練習を中断して、こちらを見ているのがわかった。

のび太は叫んだ。

「やめろ!やめろよおおおおお!!!」

だが、男子たちは耳を貸さない。

彼らは、のび太のジャージのズボンを引っ張り下ろし、さらにパンツまでも無理やり剥ぎ取ろうとする。

のび太は必死に抵抗したが、非力なために彼らの力に敵うわけもなく、ついに彼の下半身は無防備な状態になった。

女子から悲鳴が上がる。

その瞬間、彼の体は極度の恐怖と緊張に支配された。

そして――抑えきれない生理現象が起こった。

ジョボジョボジョボ…、ブリブリブリ…!

何とみんなに下半身を見られたばかりか、大小便まで漏らしてしまったのだ。

のび太の目からは涙が溢れる。

最悪の事態を理解しながらも、どうすることもできない。

周囲には、部活のメンバー全員と、何より静香の視線があった。

「おい、マジかよ!野比、やりやがった!」「くっせえええ!おええええ!!!」

男子たちは鼻をつまんで腹を抱えて大笑いし、周囲の女子部員たちも信じられないという顔を浮かべてざわつき始める。

しかし、一番のショックだったのは静香の反応だった。

彼女は目を見開き、口を開けてその場に立ち尽くした後、嫌悪感に顔をしかめて視線を逸らした。

「汚い…」

静香が小さく呟いたその言葉が口の動きで分かり、のび太の心に突き刺さる。

のび太はトイレに駆け込み、その後学校から姿を消した。

その日、泣きながら家に帰ったのび太は、何度も机の引き出しを開けたり、押し入れを開けたりした。

小学校のころ、引き出しにはドラえもんのタイムマシンがあったり、押し入れにはドラえもんが寝ていて、泣きつけば助けてくれた。

その記憶が彼を支えていた。

こんなひどい目に遭っているんだから助けてくれないわけはない。

「ドラえもん…助けてよ…」

しかし何度開けても、そこにあるのは、空っぽの引き出しと布団が置かれている押し入れ。のび太は、その度に目を閉じ、頭の中でドラえもんの声を想像した。

「大丈夫だよ、のび太くん。僕がいるから。」

その声を思い出すだけで少しだけ救われる気がしたが、それも長くは続かない。

現実に戻れば、ドラえもんはいないのだ。

あの日以来、彼が戻ってくることはなく、机の引き出しは、ただの引き出しになってしまった。

続く

関連するブログ:

最近の人気ブログ TOP 10:

最近の記事: