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access の男性ファン

1990年代に出現し、一時活動休止を経て現在も活動を続ける音楽ユニットaccess。デビュー当初、その当時にはなかったある特性でも有名であった。

90年代初頭、access(アクセス)という音楽ユニットが出現した。

ボーカルは貴水博之、キーボードは後に音楽プロデューサーとしても活躍することになる浅倉大介だ。

accessは1992年7月に結成され、同年11月『Virgin Emotion』でデビュー、

1995年1月に活動休止するまでの間に『DRASTIC MERMAID』『MOONSHINE DANCE』『MISTY HEARTBREAK』などの数々のヒット曲を生む。

1994年5月にリリースした3rdアルバム『DELICATE PLANET』はオリコン1位を獲得し、27.7万枚のセールスを記録。

同年には『SCANDALOUS BLUE』でNHK紅白歌合戦に出場するなど、90年代前半の音楽シーンで大活躍した。

そして当時、そのaccessはファン層の90%以上が女性であると言われていた。

男性の音楽ユニットのファンの大半以上を女性が占めること自体はそんなに珍しくはないのだが、その女性ファンの性質がやや特殊だった。

それはaccess が90年代初頭の当時、他のバンドにはない特徴を有していたからだ。

それは主にこれだ。

PVでは限度を超えて親密なシーンを演出し、コンサートではステージ上で曲の途中に2人が寄り添うパフォーマンスを見せるわ、

貴水博之と浅倉大介はお互いを「大ちゃん」「ヒロ」と呼び合うわ、TVで曲を歌っている時もお互いアイコンタクト。

巷でホモ疑惑が持ち上がったのも当然で、と言うか、どう見てもまんまであった

もちろんレコード会社の戦略に決まっているのだろうが、これが当時存在を主張し始めたBL(ボーイズラブ)好きの腐女子たちの心をわしづかみにした。

彼女たちがコンサートなどで上げる黄色い咆哮は発情期のメスザルがごときで、

男性がファンであると公言したが最後、社会的に抹殺されかねない禁断の音楽ユニットという側面を当時のaccessは持っていた。

そして、ここからが重要。

2020年になった今だから告白するが、私は当時accessのファンだった。

キーボード担当で、作曲も行っていた浅倉大介は1980年代末から1990年代初めの日本国内に一大旋風を巻き起こしたユニット、TMネットワークの元サポートメンバー。

TMネットワークのリーダー・小室哲哉とも関係が深かった浅倉はその影響を当然受けており、手がける曲もその路線であった。

中学生の頃からTMネットワークの大ファンで、すぐ後年にプロデューサーとして一世を風靡することになる小室のサウンドも大好きだった私は、TMネットワークのDNAと相同性の高いaccessの曲はけっこうすんなりハマったのだ。

思うに私に限らず、TMネットワークが好きだった人は結構ハマることが多いのではないだろうか。

とは言え、彼らはこれである。

最初それを知らなかった私は大学でaccessが好きだと迂闊にも同級生に話してしまったが、幸いにもそいつは物忘れの激しい奴だったので、広められて学校で異端者として排斥される羽目にはならなかった。

だが、accessの音楽が聴きたいことは確かだった。

音楽をオンラインでダウンロードするなんてSFでも考えられなかった90年代当時、accessの音楽を聴くにはCDを買うか、レンタルショップに行くしかない。

私にはaccessのシングルやアルバムを借りるのはAVを借りるより勇気が必要だった。

accessのCDを借りるより、AVを借りる方がずっと健全だったからだ。

このようにレンタルショップなどの店員に対して一時の尊厳を犠牲にすれば、accessの曲を下宿に帰ってようやく聞けることになるのだが、

部屋の中では音が漏れないようイヤホンをして聞いていた。

他の下宿生にaccessの曲を聴いていると知れたら、下宿内での世間体も失うからだ。

この時代、accessの男性ファンであることは隠れキリシタン同様だった。

1995年にaccessは活動を休止するが、作曲も担当していた浅倉大介はソロ活動を再開。

1996年には黒田倫弘、伊藤賢一とのユニットIcemanを結成。

その後、T.M.Revolution、木村由姫、pool bit boysなど多くのアーティストをプロデュースした。

ボーカルの貴水博之よりも、どちらかと言うと浅倉の曲が好きだった私は、同じく浅倉が作曲を手掛けるT.M.Revolutionが特に好きだ。

ちなみに、1995年より休止したaccessは2002年に活動再開、

2017年にはベストアルバム『access BEST 〜double decades + half〜』をリリースし往年のファンを泣いて喜ばせ、2020年現在も活動を継続中である。

そして私は今でもaccess やT.M.Revolutionをよく聴くが、それは純粋にそれらの音楽が好きなのであって、

accessが演出してたような趣味もないし、T.M.Revolutionの西川貴教みたいな恰好をしたいと思ったことは断じてない。

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