カテゴリー
2021年 おもしろ 低身長 悲劇 本当のこと 無念

残念な北欧の貴公子

顔写真は本人ではありません。イメージです。


にほんブログ村

昔、知り合いの知り合いにデンマーク人留学生がいた。

デンマークの大学で日本語を専攻後に来日した24歳くらいの青年で、確か名前はスベン。

そのスベンとは一回だけ顔を合わせる機会があって、それは共通の知り合いに誘われた飲み会の席であった。

飲み会の会場は大手の居酒屋チェーンで、スベンは大人数が座るテーブル席の中央で、日本人ばかりの参加者に囲まれるように座っていたのだが、一目で分かった。

なぜなら、彼は金髪に碧眼、透けるように白い肌という典型的な北欧系の青年だったから黒髪の黄色人種たちの中では目立つことこの上ない。

おまけに、近世の北欧の貴公子もかくありやと思わせるくらい品のあるハンサムな若者でもあった。

かと言って決して軟弱ではなく、衣服の上からも明らかに分かる広い肩幅と熱い胸板に太い腕の持ち主で、スポーツも得意なんだそうだ。

しかも他の日本人と話しているのを聴くと、日本語がべらぼうに達者であり、他にも五か国語くらい話せるという極めて明晰な頭脳の持ち主でもある。

まさに非の打ちどころのない青年だと言えよう。

だが、そのスベンにも残念なところがあった。

それは、言っては悪いが致命的と思わざるを得ないくらいのレベルのだ。

それは、

デンマーク人なのに身長が163cmしかなかったのだ。

最初私がついた席の対面に座っていたので気づかなかったが、彼がトイレか何かで席を立った時に初めて気づいた。


座っている姿だけを見たらデンマーク人らしく、普通に180cmくらい余裕でありそうな風格なのに、立ち上がって歩き出したら明らかに背が低かったからだ。


一緒のタイミングで立った隣の女性(むろん日本人)の方が微妙に背が高い。

他の人もそう思った人がいたらしく、すでに酒が入っていたとはいえ、戻ってきた本人に直接それをツッコむという無礼を働いていたが、スベンは「よく言われますよ」と表情も変えずにネイティブレベルの日本語で軽く流した感じだった。

できた男だ。

190cmオーバーがゴロゴロいる母国のデンマークで、身長が163cmしかないという彼は、肩身が狭い思いをしなかったはずがないのに、その表情と対応から気にしている様子を感じない。

170cmが平均身長の国で、1cm平均に達しなかっただけで、障害者に生まれたがごとくコンプレックスにさいなまれ続けている身長169cmの私とは、えらい違いである。

その後、宴もたけなわとなり、酒も進んできた。


スベン君はさすが北欧系だけあって、ビールを何杯飲んでも表情が少しも変わらなかったが、だんだん饒舌にはなってきた。

デンマークはこんな国だの、将来母国の大学で教授になりたいだの、全くさっきと変わらず流ちょうな日本語で皆と話していたのだが、そんなスベン君は、会話の中で前年日本に来たばかりの時に、非常に衝撃を受けたことがあることをぽつりと吐露した。

「初めてナリタに来て、デンシャに乗った時ですね、私はとてもショックなことアリマシタ」

その“ショックなこと”は今でも尾を引いており、今でも日本人に対する深い失望感であり続けているという。

何か日本人に悪さをされたんだろうか?

いや、日本人は西洋人にはビビるはずだから、あからさまなことはせんだろう。


遠巻きでよそよそしい態度ならよくとるが、それを嫌がる外国人もいるから、それだろうか?

などと一瞬考えたが、スベンが語る日本人への失望感とは、

日本人が予想外に大きく、自分がこの国でも小柄だと思い知ったことだった。

何でも、日本に来る前に日本人は自分より小さい者ばかりだろうと信じていたらしい。

先ほど低身長であることを気にしていないそぶりを見せていたが、実は相当気にしており、母国では一般の女性より背が低いことから、みじめな思いをしてきたという。

デンマーク人よりはるかに小柄な日本人の国に行けば、自分も晴れて大柄な男として胸を晴れるだろう


と期待に胸膨らませてきたところ見事に裏切られたわけだ。

ナメられたものだ日本人も。

むろんそれだけの理由で日本語を専攻して日本に留学したわけではないのだろうが、

「私は世界のどの国に行っても小さいことがワカリました」とか、


「80パーセントくらいの日本の男のヒトは私よりオオキイ」とか、


「イマの日本の男の平均は171cmで私より8センチもオオキイ」とか

自身の感覚から具体的な統計まで出してグタグタ愚痴を垂れ続けるので、実際の身長より小さい男に見えてきた。

どこの国でもこういう奴はいるらしい。


気持ちは低身長の私も痛いほどわかるが。

それでもスベンは日本が気に入っているし、来てよかったと思っていると一転表情を明るくして断言した。

「ダッテ、最愛の人を見つけたからデス」

と、先ほど同時に席を立った隣の女性を指した。
どうやら交際しているらしい。

“最愛の人”とされた女性が照れ笑いし、酒の入った他の参加者たちも「おお」と拍手したりして悪ノリする。

だが、すかさず最後にポツリと、

「デモ、ワタシより背が大きいのはヨクナイ」

やっぱりどの国でも人間というのは変わらない。


身が小さいと心も小っちゃくなりがちなのが人情なようだ。

関連する記事:

最近の記事:

カテゴリー
2021年 おもしろ 低身長 本当のこと 無念

ボーダーライン低身長の苦悩


にほんブログ村

私は低身長、小男である。

40を超えたこの歳になってもこの事実はシャクであり、外へ出て街を歩く際は周りより少しでも大きく見せようと胸を張りがちだし、「体が小さい」とか「小柄」という言葉を使うのも使われるのも嫌いだ。

「大きいことはいいことだ」と本気で思うし、

自分が大柄だったら人生は今よりずっと楽しかったはずだと信じている。

これまでの人生、特に前半生において低身長による不利益を大いにこうむってきた記憶がそうさせるのか、

私は自分より身長の高い者に囲まれると自らの不遇を嘆くし、逆に低い者といると心安らぐ。

みみっちいことこの上ないけど。

私はいまだにこの身長で人生を送らざるを得ないことを受け入れられないのだ。

ボーダーライン低身長

私の身長は169cmである。

別に気にするほど小さくはないし普通だろう、と思われるかもしれない。

だが、日本人男性の平均身長である171cmに達していない以上低身長であることに変わりはない。

2cm足りなかっただけで私は小男の烙印を押されているのは事実なのだ。

たった2cmだぞ、2cm!

その上方向2cm先が私にとっては、見えてはいるけど決して達することのできない何光年も先の太陽系外の星々のようにすら思えるのだ。

百歩譲って平均身長の171cmに達しなかったとしても、せめて170cmは欲しかった。

考えてもみよ。

170cmと169cmだと、1cm違うだけで169cmはより低い気がしないか?

178cmと173cmとを比べてもあまり差があるように思えないのは私だけ?

170cm台に達していないだけで一挙に小柄感が増す。

カースト制度か人種隔離政策が行われている社会に存在するような、決して超えることのできない身分の違いを感じるのだ。

同じく低身長に悩む同志が身近にいて、その男は身長163cmなのだが、「それだけ身長があればまだマシだろう」と言う。

違うのだ。

163cm男は私の方が6cm高い分、単純に低身長の悩みは自分より6cm分少ないと考えているようだが、平均身長に大きく届かないのと、あとちょっとで届かないのとでは悔しさの種類が違う。

欲しいものが「絶対に手に入らない」より、「あとちょっとで手に入らなかった」方が悔しくないだろうか?

同じ低身長でも、“真”低身長と“ボーダーライン”低身長とは温度差があるのだ。

1cmの重み

くだんの163cm男だが、「1cmでいいから分けてくれ」とせがんできたことが何度かあった。

金を払ってもいい、とまで言ったこともある。

バカ者!

貴様も低身長ならわかるだろう?

我々にとっての1cmがどれだけの価値か!

188cmくらいの奴に頼めよ。

きっと気前よく分けてくれるか、無料ではなかったとしても私から買うよりずっと安いはずだ。

たとえ金に困って売ったとしても、私は1cm2000万円未満で売却に応じる気はない。

そして、5cm以上は絶対に売らない。

私の公称身長

そんな私だが、実は170cmであることになっている。

時々171cmになる時もある、書類の上では。

どういうことかと言うと、

健康診断で身長を測る時はいつも背伸びをするからである。

高校三年生の頃、前年より身長の伸びが停滞し始め、高身長どころか中肉中背への前途が絶たれることに危機感を感じてから無意識にそうするようになった。

微妙につま先に力を込めるのがコツで、今までバレたことは一度もない。

中肉中背の地位を死守するためなら、私は手段を選ばないのだ。

だから今でも健康診断では血圧や尿酸値、肝臓の数値より身長を測る時の方が緊張する。

今年の健康診断ではしくじって腰を曲げた状態で測定されてしまい、167cmというショッキングな結果が出たが、身長が3cmも縮んだと健診スタッフの間で大騒ぎになって測り直しとなったため、事なきを得た。

今年も170cmとして胸を張って一年を送ることができる。

当然私は自分の身長を聴かれた場合は170cmと堂々答えているが、

自分とそう変わらない身長の相手には正直に169cmくらいと告白せざるを得ない。

それくらいの身長の相手だと、私が170cmであることに疑念を感じる確率が高いからだ。

ちゃんと測定したら169cmにも達していないかもしれないが、

これ以上みじめになりたくないので妥協はしない。

たかが身長、されど身長

「身長で人間の価値は決まらない。身長にこだわるなんてくだらないぞ」

低身長の悩みが今よりはるかに顕著だった思春期によく父に言われたことである。

だがその父は172cmと身長がそこそこあるから、説得力がないったらありゃしない。

「人間大きけりゃいいってもんじゃないの!ウドの大木って言葉もあるでしょうが!」

そう言う母は低身長であるが、強がりにしか聞こえなかった。

母も低身長であることを全く気にしていないわけではなかったからだ。

第一、

女が低身長であることよりも、男が低身長であることの方が問題は深刻なのだ。

ていうか、この人の遺伝子が悪いんじゃないの?

それとも、成長期に背を伸ばすために有効なことをしなかった私の自己責任?

成長期に身長を伸ばすサプリメントが世の中にはあるらしいが、私も中学の頃飲んでおけばよかった。

二人ともそろって「大人になればそんなこと気にならなくなる」と言っていたもんだが、

結果、大人になって久しい四十を超えた今でもそこそこ気にしている。

背が高いことはいいことだ、というのが人類共通の認識であるのは事実だし、

私自身、身長が低いことによるメリットは飛行機のエコノミーに座った時くらいしか感じたことはない(もっともその際はもっと低くてもよかったと思う)。

170cm以上が死ぬ病気が流行してくれないだろうか、

とすら考えたこともある。

そうすれば平均身長も下がって私も晴れて大柄だからな。

私にとってはかように根が深い問題なのだ。

身長以上に人間の器が小さいことの方がより問題だと自分では分かっているが、

もはやこの人生において背が伸びることも、170cm以上が死ぬ病気が流行することもない以上、私はこの身長のまま生きて行かざるを得ない。

今度生まれるならば、多くは望まない。

ロックフェラー一族やブルネイの王族に生まれなくてもいい。

どこの国でも、

いや、人間でなくてもいいから、せめて平均以上に大きい個体に生まれたい。

JACK UP ジャックアップMAX 身長 思春期から大人 サプリメント スピルリナ カルシウム アルギニン 亜鉛 ビタミンD ビタミンC フィッ

価格:4,091円
(2021/5/30 20:00時点)
感想(0件)

関連する記事:

最近の記事: