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私は低身長、小男である。
40を超えたこの歳になってもこの事実はシャクであり、外へ出て街を歩く際は周りより少しでも大きく見せようと胸を張りがちだし、「体が小さい」とか「小柄」という言葉を使うのも使われるのも嫌いだ。
「大きいことはいいことだ」と本気で思うし、
自分が大柄だったら人生は今よりずっと楽しかったはずだと信じている。
これまでの人生、特に前半生において低身長による不利益を大いにこうむってきた記憶がそうさせるのか、
私は自分より身長の高い者に囲まれると自らの不遇を嘆くし、逆に低い者といると心安らぐ。
みみっちいことこの上ないけど。
私はいまだにこの身長で人生を送らざるを得ないことを受け入れられないのだ。
ボーダーライン低身長
私の身長は169cmである。
別に気にするほど小さくはないし普通だろう、と思われるかもしれない。
だが、日本人男性の平均身長である171cmに達していない以上低身長であることに変わりはない。
2cm足りなかっただけで私は小男の烙印を押されているのは事実なのだ。
たった2cmだぞ、2cm!
その上方向2cm先が私にとっては、見えてはいるけど決して達することのできない何光年も先の太陽系外の星々のようにすら思えるのだ。
百歩譲って平均身長の171cmに達しなかったとしても、せめて170cmは欲しかった。
考えてもみよ。
170cmと169cmだと、1cm違うだけで169cmはより低い気がしないか?
178cmと173cmとを比べてもあまり差があるように思えないのは私だけ?
170cm台に達していないだけで一挙に小柄感が増す。
カースト制度か人種隔離政策が行われている社会に存在するような、決して超えることのできない身分の違いを感じるのだ。
同じく低身長に悩む同志が身近にいて、その男は身長163cmなのだが、「それだけ身長があればまだマシだろう」と言う。
違うのだ。
163cm男は私の方が6cm高い分、単純に低身長の悩みは自分より6cm分少ないと考えているようだが、平均身長に大きく届かないのと、あとちょっとで届かないのとでは悔しさの種類が違う。
欲しいものが「絶対に手に入らない」より、「あとちょっとで手に入らなかった」方が悔しくないだろうか?
同じ低身長でも、“真”低身長と“ボーダーライン”低身長とは温度差があるのだ。
1cmの重み
くだんの163cm男だが、「1cmでいいから分けてくれ」とせがんできたことが何度かあった。
金を払ってもいい、とまで言ったこともある。
バカ者!
貴様も低身長ならわかるだろう?
我々にとっての1cmがどれだけの価値か!
188cmくらいの奴に頼めよ。
きっと気前よく分けてくれるか、無料ではなかったとしても私から買うよりずっと安いはずだ。
たとえ金に困って売ったとしても、私は1cm2000万円未満で売却に応じる気はない。
そして、5cm以上は絶対に売らない。
私の公称身長
そんな私だが、実は170cmであることになっている。
時々171cmになる時もある、書類の上では。
どういうことかと言うと、
健康診断で身長を測る時はいつも背伸びをするからである。
高校三年生の頃、前年より身長の伸びが停滞し始め、高身長どころか中肉中背への前途が絶たれることに危機感を感じてから無意識にそうするようになった。
微妙につま先に力を込めるのがコツで、今までバレたことは一度もない。
中肉中背の地位を死守するためなら、私は手段を選ばないのだ。
だから今でも健康診断では血圧や尿酸値、肝臓の数値より身長を測る時の方が緊張する。
今年の健康診断ではしくじって腰を曲げた状態で測定されてしまい、167cmというショッキングな結果が出たが、身長が3cmも縮んだと健診スタッフの間で大騒ぎになって測り直しとなったため、事なきを得た。
今年も170cmとして胸を張って一年を送ることができる。
当然私は自分の身長を聴かれた場合は170cmと堂々答えているが、
自分とそう変わらない身長の相手には正直に169cmくらいと告白せざるを得ない。
それくらいの身長の相手だと、私が170cmであることに疑念を感じる確率が高いからだ。
ちゃんと測定したら169cmにも達していないかもしれないが、
これ以上みじめになりたくないので妥協はしない。
たかが身長、されど身長
「身長で人間の価値は決まらない。身長にこだわるなんてくだらないぞ」
低身長の悩みが今よりはるかに顕著だった思春期によく父に言われたことである。
だがその父は172cmと身長がそこそこあるから、説得力がないったらありゃしない。
「人間大きけりゃいいってもんじゃないの!ウドの大木って言葉もあるでしょうが!」
そう言う母は低身長であるが、強がりにしか聞こえなかった。
母も低身長であることを全く気にしていないわけではなかったからだ。
第一、
女が低身長であることよりも、男が低身長であることの方が問題は深刻なのだ。
ていうか、この人の遺伝子が悪いんじゃないの?
それとも、成長期に背を伸ばすために有効なことをしなかった私の自己責任?
成長期に身長を伸ばすサプリメントが世の中にはあるらしいが、私も中学の頃飲んでおけばよかった。
二人ともそろって「大人になればそんなこと気にならなくなる」と言っていたもんだが、
結果、大人になって久しい四十を超えた今でもそこそこ気にしている。
背が高いことはいいことだ、というのが人類共通の認識であるのは事実だし、
私自身、身長が低いことによるメリットは飛行機のエコノミーに座った時くらいしか感じたことはない(もっともその際はもっと低くてもよかったと思う)。
170cm以上が死ぬ病気が流行してくれないだろうか、
とすら考えたこともある。
そうすれば平均身長も下がって私も晴れて大柄だからな。
私にとってはかように根が深い問題なのだ。
身長以上に人間の器が小さいことの方がより問題だと自分では分かっているが、
もはやこの人生において背が伸びることも、170cm以上が死ぬ病気が流行することもない以上、私はこの身長のまま生きて行かざるを得ない。
今度生まれるならば、多くは望まない。
ロックフェラー一族やブルネイの王族に生まれなくてもいい。
どこの国でも、
いや、人間でなくてもいいから、せめて平均以上に大きい個体に生まれたい。
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