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独居老人をよってたかって恐喝した昭和の極悪童たち

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1982年(昭和57年)、福岡県粕屋郡須恵町で、後にも先にも滅多にないような卑劣な少年犯罪が行われた。

一人暮らしで体の不自由な75歳の老人を、23人もの小学生や中学生の悪ガキたちが入れ替わり立ち替わり37回も恐喝。

面白半分に暴行を加えるなどして、老人の唯一の収入源であるなけなしの年金を脅し取り続けていたのだ。

お年寄り相手に、よってたかってカツアゲとは何という奴らだ!

平成や令和の悪ガキでも、ここまでやる外道はいない!

本ブログの筆者は、この事件を40年以上も昔に年端のいかなかった者たちが、ついつい調子に乗りすぎてしまった程度の事件とはみなさない。

人の道を大きく踏み外した子犬畜生たちの非人道的行為として、令和の現在白日の下にさらしてやる!

目をつけられた独居老人

昭和の昔、福岡県粕屋郡須恵町に、ひっそりと暮らす独居老人がいた。

老人の名は、中辻国男(仮名・当時75歳)。

妻子がない独り身で、近所づきあいもほとんどない。

現役時代は国鉄(現JR)職員だったが、退職後は月7万円の年金だけを収入源にしていた。

神経痛のために足が不自由で腰が大きく曲がってはいたが、自宅の庭で野菜を育てるなどして、少ない年金ながら何とか暮らしている。

そんなつつましく老後の生活を送っていた中辻老人に1982年(昭和57年)の新年早々、おそらく彼の長い人生の中でも最悪の災いがもたらされることになった。

それは同年1月8日の夕方のこと、家の中にいた中辻老人の耳に、何かが自宅の壁にぶつけられた物音が響いたことから始まる。

粕屋郡は、前日から雪が降り積もっていたから外は一面の雪。

どうやら、誰かが自宅の壁に雪玉を作って投げ込んだようだ。

外を見ると二人の中学生になるかならないかの年頃の少年が前の道を歩いている。

何食わぬ顔をしているが、二人とも見るからに悪ガキそうだから、こいつらの仕業だろう。

老い先短い中辻だったが、この悪質ないたずらに黙っているわけにはいかず、二人を注意した。

しかし、注意された二人は自分たちではないと断固否定。

ばかりか「ナニ文句付けてんだよ、ジジイ!」と絡んできた。

この二人は、粕屋郡の隣の福岡市に住む中学校一年生の小峯仁志(仮名・13歳)と小学校六年生の板橋将人(仮名・12歳)だ。

年齢的には年端もいかぬ子供だったが、すでに本格的にグレて悪さを重ねている非行少年である。

よって語気に凄みがあった。

「ああ、違うのか。悪かった」

子供とは思えぬ迫力に、ひるんだ中辻老人は謝罪。

二人は「オレらのせいにしてんじぇねえぞ」などど悪態をつきながらもその日は立ち去ったが、それではすまなかった。

5日後の13日に再び中辻宅にやってきたのだ。

いや、「やってきた」というより「押しかけてきた」の方が正しい。

「この前のこと俺らのせいにしたワビ入れろや!!」と怒声を張り上げ、家にまで上がり込んできたのだ。

小峯と板橋は足が不自由な老人を押し倒し、手を広げさせて床に押し付けると台所にあった包丁を指の間に突き刺した。

「オラ!落とし前どうつけてくれんだ!ジジイ!」

5日前のことを口実にして、カツアゲに来たのである。

中辻老人が謝罪したことから、強気で押せば言うことを聞いてくれる相手と踏んだようだ。

13歳や12歳の少年らしからぬ凶悪な脅しに75歳の中辻はたまらず屈し、おわびの印として家にあった現金数千円を渡そうとしたが、「誠意っつーもんがねえぞ」と激高されて泣く泣く大金の2万円を払うことで解放された。

これはカツアゲどころか完全な強盗である。

だが、中辻老人は「警察にチクったら命はねえぞ」と二人に脅されていたし、相当恐ろしい思いをさせられたからか、通報することはなかった。

結果的に、それは大きな間違いとなる。

この災難は、これで終わらなかったからだ。

カツアゲ地獄

小峯と板橋は、そもそも同年代の悪ガキとはレベルが違う本格的な悪党だった。

すぐに金が手に入ったことに味をしめて、たびたび中辻老人の家に怒鳴り込んで金をせびりに来るようになったのだ。

取り上げた金は、もちろんゲームセンターなどでの遊ぶ金で瞬時に溶かすが、その時はまた老人の家に行けばよい。

中辻老人も中辻老人で、小中学生が相手とはいえ、恐怖が身に染みていたから、そのたびに金を渡してしまうという地獄のループが始まった。

悪党の脅しに屈して要求を飲んだりしようものならば、往々にしてこうなる。

相手が弱いと見たら徹底的に、かつ延々とたかりに来るのだ。

中辻老人は、なけなしの年金しかもらっていないから、決して金を持っているわけではないが、小峯たちにとっては知ったことではない。

しかも彼らは「ちょっと脅せば金をくれるジジイがいる」と不良仲間に吹聴したため、金をたかりに来る不良少年の数は増え、さらには、いくつかのグループに分かれて入れ替わり立ち替わり中辻老人の家にやってくるようになった。

小憎らしいことに年金の支給日も把握しており、その日には集中的に来る。

また、金があろうとなかろうと、面白半分に体の不自由な老人に暴力をふるった。

刃物を振り回して脅し、水をかけるわ、殴るわ蹴るわ、縛るわ、首を絞めるわ。

中辻老人は払う金がなくなると、普段あまりつきあいのない近所の住民に金を借りに行くようにまでなり、金を一切合切取り上げられるようになってからは、庭の野菜を食べてしのぐなど完全に悪童たちの奴隷と化す。

押しかけてくる不良少年の中には、小峯の大先輩で中学をすでに卒業した者もおり、それくらいの年齢の不良になると本職そのもののいでたちをしているから「本物のヤクザまで来た」と中辻老人は絶望し、通報する気が余計に失せてしまっていた。

完全に心が折られていたんだろう。

このカツアゲ地獄は、同年8月4日までに小峯や板橋らが福岡県警の東署によって強盗、恐喝の容疑で検挙、補導されるまで約七か月間も続いた。

その回数は37回に達し、中辻老人は合計約25万円の年金を奪われ、恐喝に関わった不良少年は小学生も含めた23人にも及んだ。

老人自身は通報できなかったのに、なぜ発覚したかは報道されていないが、異変に気付いた近所の住民がしたものと思われる。

それにしても、何と非道な犯罪であろう。

これまでに発生した数多くの事件の中でも、トップレベルのクズっぷりである。

中辻老人は命こそ奪われなかったとはいえ、人生の晩節で最悪の恐怖と屈辱を味わわされてしまった。

一方の小峯たちは14歳未満だったから、大した罰も受けていなかっただろう。

現在、もうすっかりいい年齢になって丸くなっているかどうかは知らないが、中辻老人くらいの年齢になってから同じ目にあってもらいたいとに願わずにはいられない。

新聞記事の一部

中程度の精度で自動的に生成された説明

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見るだけの人お断り ~2000年・暴力ブティック「ヨコハマソウルシティ」~

本記事に登場する氏名は、全て仮名です。

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「万引き」「金無し」「見るだけ」「ひやかし」

上記の方は、入店を固くお断りします。

今から二十年以上前、横浜市元町に以上のような注意書きを記した紙を入口に貼って、営業していた店が実在した。

その名は、ヨコハマソウルシティ

そりゃあ、買う気もないのに店に来て何も買わずに帰っていく奴は、店の側からしたら好ましくないのは理解できるが、こうもはっきり書かれると、感じがバチクソ悪い。

たいていの人は、かように不遜な注意書きを見せられたら、入る気は失せるだろう。

だが、中には「そんなバカな」と高をくくるか見落として入ってしまい、「万引き」はともかく「見るだけ」で帰ってしまおうとする人もいた。

そして、そういった不注意な人々は、ヨコハマソウルシティが一般常識の通じる店ではないことを思い知り、同店どころか元町に行く気が終生起きなくなるくらいの思いをさせられることになった。

なぜなら、このヨコハマソウルシティは、暴力バーのブティック版、「暴力ブティック」だったからだ。

冷やかし客への過酷な仕置き

2000年11月17日、横浜の元町ショッピングストリートを訪れた村上園美(仮名・26歳)は、一軒のブティックに入った。

その店の入り口には、店名である「ヨコハマソウルシティ」のアルファベット表記の下に注意書きらしき貼り紙が貼られていたが、彼女の目は、ガラス越しの店内にある商品にあったようだ。

だからと言って、お目当てのモノがあったわけではない。

とにかく、これは、と思えるようなモノがあれば買おうというノリであり、なければ次の店に行けばよい。

ひととおり見て回って、なかなかいい感じと思えるコートを見つけた。

一応手に取って他のモノを物色するが、この店にはなさそうだ。

このコートも最初はいい感じだと思ったが、やっぱり買うのはやめとこう。

「試着してみますか?」

店主と思しき中年の男が話しかけてきた。

「すいません。やめときます」

悪いけど買う気はない。

元の場所に戻して次の店に行こう、と思っていたから、サバサバした感じで断った。

しかし、その店主の男の態度が次の瞬間に急変する。

「あ?試着しねえだと!?どういうことだ!オイ!」

いきなり怒声を張り上げ、園美を罵倒し始めたのだ。

え?何で何で?どうしてこんなこと言ってくるの?

まさか、店の人間からこんな態度を取られるとは予想だにしていなかった園美は凍り付いた。

「あ、いや、えっと…あんまり好みじゃなかったから…」

「表の貼り紙に書いてあんだろ!買う気がねえのに入ってくるたあ、ナメてんのか!?コラ!!」

「ごめんなさい」

大の男に大声で罵声を浴びせられ、園美はショックのあまり頭が真っ白になっていたが、この男が純粋にこの店の商品を買わないことにキレていることは分かった。

「じゃあ、これください…」

園美は一番安い小物を買って許してもらおうとしたが、男の怒りは収まらない。

「そんなもんで、お茶濁してんじゃねえ!てめえがさっきべたべた触ったコート買えよ!」

「いくらですか…?」

「42000円だよ!」

「そんなお金持ってません…」

男は、より激高した。

「金も持ってねえのにウチの店入りやがったのか!!土下座しろ!!ボケえ!!!」

「え…」

「しろっつってんだろ!!オラあ!!!」

あまりの剣幕に、すっかりおびえ切っていた園美は、へたり込むように土下座した。

ばかりか、男は店内でタバコを吸い始め、彼女をなじりながら吸い殻を投げつけることまでした。

園美は所持金3000円を取り上げられ、次の一週間後に残金を支払うことを約束させられた後でやっと解放されたが、この世のものとは思えないほどの言葉の暴力を加えられて、ズタボロにされた彼女は悔し泣きをしながら、その足で交番に駆け込んだ。

土下座の強制は、刑法的には義務のないことを命令したりする行為、強要罪であるから、立派な犯罪に当たる。

園美は被害届を神奈川県警加賀町署に提出し、同署は12月7日店主である石黒成(本名・38歳)を恐喝の疑いで逮捕した。

六年間のさばり続けたヨコハマソウルシティ

ヨコハマソウルシティは、事件の六年前の1995年に開店した当初から、何かと問題を起こしてきた店だったようだ。

商品を買わなかったばっかりに、園美のように土下座させられたり、肩を突き飛ばされたり、買うまで入口に施錠されて出してもらえなかったりしたなどの苦情が、元町の商店会や交番に数多く寄せられていたのである。

商店会は、たびたび改善を申し入れていたのだが、石黒は「これがうちの営業方針だ」と言い張って、聞く耳を持たなかったという。

また、被害にあうのは冷やかし客だけではない。

事件の起こる二か月前の9月には、店舗の前に配送のトラックを停めた男性に「店の前の道路もオレのもんなんだよ」とか「オレの店は1時間1万円売る店だから1万円分買え」などと、Tシャツ3枚を無理やり買わせて、1万1000円を恐喝していたのだ。

ちなみに、その店の前の道は市道であり、トラックが停まっていた時間に店のシャッターは閉まっていた。

こういうことが重なって石黒はとうとう逮捕されたが、取り調べにあたった警官によると、この男は人格的に大いに問題があったらしい。

彼は、事情聴取を受けている際にたびたび激高して大声を張り上げて、反抗的な態度を取ったかと思えば、ほどなくして、人が変わったように猫なで声を出すなど、感情の起伏が激しすぎる面が目立ったという。

何らかの人格障害があったと思われる。

ヨコハマソウルシティは店主が逮捕された後、残った女性の店員が営業を継続。

しかし、この店員もかなりの強者で、あるテレビ局が取材したところ、

「うちは、こういう方針でやっていますから」と悪びれもせずに言い放ったという。

もっとも全国的に、この店の危険性が知られた以上、営業を継続することは困難だったようで、翌年2001年の春には同店は閉店。

同年9月、恐喝、暴行罪に問われた石黒には、横浜地裁により懲役2年6月、執行猶予5年(求刑懲役2年6月)が言い渡された。

出典元―朝日新聞、日刊スポーツ

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ヤクザが最も凶悪だった時代 2 ~女子高生をナンパして歯を抜かれた大学生

本記事に登場する氏名は、全て仮名です。

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日々ナンパやキャッチに励む諸君。

君たちの日ごろの行いは、世間の評価はさておき敬服に値すると私は信ずる。

そっぽを向かれるのを覚悟の上で見ず知らずの異性に話しかけ、自身の話術と魅力を駆使して何とか自分の思い通りにさせようとする行動力、何より勇気はたいしたものだと思う。

なぜなら無視されたり、冷ややかな態度を取られるだけならまだしも、相手の女によっては、とんでもないことになる場合もあるからだ。

今から20年前の2003年に、ある女子高生をナンパした私立大学三年生の高倉隆司(仮名・22歳)のように。

猛毒女

2003年8月24日JR池袋駅西口で、大学三年生の高倉は仲間二人とともにナンパをし、ある未成年と思しき少女二人を自分の部屋に連れ込むことに成功。

本懐を遂げて見事勝利を収めた。

しかし、彼らはナンパした相手を大いに間違えていたことに、この時は気づかなかった。

連れ込んだ女はとんでもない奴だったのである。

大満足の高倉たちの一方で、連れ込まれた二人のうちの一人の女、都立高校二年生の山下侑理江(仮名・17歳)の方は、負けた気がしていた。

たいして好みでもない奴らの口車に乗ってしまい、言いなりになってしまったことが、悔しくて悔しくて仕方がない。

この恨み、晴らさでおくべきか。

相手は大学生で、そんなにヤバそうな奴らじゃなかったが、男相手に直接自分でやることはしない。

不良少女の山下には、こういう場合にとても頼りになりそうな知り合いに心当たりがあった。

それは、藤川直哉(仮名・30歳)という男。

関東に拠点を持つ指定暴力団住吉会系の組所属の暴力団員だ。

暴力団の恐怖

ヤクザの藤川と女子高生の山下がどのように知り合ったかの詳細はよくわかっていないが、だいたい想像はつく。

おそらく、街でたむろしていた山下に藤川が声をかけて、「何かあったら連絡しろ」とか言って、組の代紋入りの名刺を渡したか何かだろう。

裏社会の人間にとって若い女は何かと利用価値が高いから、なるべくたくさんつばをつけておくに越したことはない。

一方の山下はバカに決まっているから、頼りがいのある知り合いができたと、ほくそ笑んだはずだ。

そして、何の考えもなくその力を利用することに決め、藤川に連絡を取った。

「あのさ、金取れそうな話あんだけど」

とっちめた上に、金をいただこうという算段だったんだろう。

話を持ち掛けられた藤川だったが、こいつはペーペーの組員で単体ではさほど頼りにならなかった。

自分で動くことができないし、動かせる下の人間がいなかったらしく、取り分が減ることを覚悟のうえで、組の幹部である能勢将大(仮名・41歳)に相談する。

能勢は組の幹部ではあったが、チンケなヤクザであったようだ。

小娘の持ってきた話に大真面目に乗って、山下をナンパした大学生から金を脅し取る計画を練り始めた。

そしてその小物ヤクザの考えた計画はすこぶる正攻法だった。

8月31日未明、能勢は山下に教えられた高倉のマンションに手下とともに押し入って高倉を粘着テープで縛り上げ、車のトランクに入れて拉致。

曲がりなりにも職業犯罪者だから、大学生のガキ一人をさらうなど朝飯前である。

いきなり相手の家に押しかけて連れ去るあたり、能勢は悪い意味で正統派のヤクザだったらしい。

そんな奴が脅して言うことを聞かせるためにまずすることは、たっぷり怖い思いを相手にしてもらうことだ。

そのために、高倉をトランクに監禁した車が向かった先は、人気のない河川敷である。

「コラ!ガキい!!詫び入れろや!!」

「すいません!すいません!もうかんべんしてくださいい!!」

トランクから出された高倉は、おっかない奴らに拉致され、すでに恐怖で泣き出している。

脅迫の第一段階は、十分に果たしたと言えよう。

だが能勢の脅迫には第二段階があった。

それは、すごく痛い思いを相手にしてもらうことだ。

「オラァ!口開けやがれ!!」

能勢は、高倉の口を無理やり開けさせるや、何とペンチで歯を抜き始めた。

「あががががが~!!!」

歯医者で歯を抜いたことがある人ならわかると思うが、歯を抜かれる痛みは半端じゃない。

もちろん、麻酔など使っていないからなおさらだ。

一本だけじゃすまない。

能勢たちは、さらに泣きわめく高倉の歯をもう一本二本と抜いて、合わせて上下の歯七本を抜いた。

地獄のような暴行である。

能勢は歯を抜き終わった後、山下をナンパした他の二人も呼び出し、三人にそれぞれ普段金として『150万円を払う』という念書を書かせた。

二人は歯を抜かれなかったようだが、歯を抜かれて口から血を流しながら泣いている高倉を見て、凍り付いたはずだ。

断ったら同じ目にあわされる。

高倉はもちろん、友人二人も念書を書かざるを得なかった。

彼らはその後解放されたようだが、こんなことをしたら警察に駆け込まれるのは目に見えている。

だが、長年ヤクザをやっていた能勢は経験上、徹底的に恐怖と苦痛を与えた相手は、決して訴えやしないという自信があったのかもしれない。

被害に遭った者は訴えたが最後、報復として同じ目かそれ以上ひどいことをされると、恐怖のあまり精神的に折れて泣き寝入りする場合が多いのだ。

そして、この凶行のきっかけとなった山下も、凍り付いたことだろう。

「まさかここまでやるとは思わなかった」と愕然とすると同時に、もしこの人たちを怒らせたら自分もこういう目に合うかもしれないと、震えあがったはずである。

それも、能勢の狙いだった可能性が高い。

「俺たちはここまでやってやったんだから、お前は何してくれる?」などと、過大な見返りを求めやすくなるからだ。

そして、それは延々続くことになるはずである。

それがヤクザというものだ。

しかし、この件が警察の知るところとなるのに、そんなに時間はかからなかった。

高倉たちが警察に駆け込んだのか、それとも医者か周囲の者が通報したのか、能勢や山下ら4人は事件からほどない9月18日には、逮捕監禁や恐喝で逮捕。

26日には、話をつないだ藤川も逮捕された。

その後、逮捕された能勢たちがどんな法的制裁を受けたか報道されていないが、高倉たち三人は、二度とナンパをする気がなくなったに違いない。

断られてもそっぽを向かれてもめげず、相手の迷惑そっちのけで道行く女性に声をかけ続ける諸君。

君たちも、十分気を付けてナンパにいそしんでくれ。

出典元―夕刊フジ、朝日新聞

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