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第四話 弄ばれる命
自殺を図った須弥代
須弥代を連れた犯行グループは24日午前11時に近藤と合流、拉致していたカップルのうち男の方は殺し、残った女も今日中に殺すことを告げる。
襲撃の実行犯の一人で、昭善殺害の現場にはいなかった高志にも電話をかけて、この日の22時に落ち合うことを約束させた。
殺害を二人にも手伝わせるはずだったのだが、現役暴力団員の近藤は組の用事があることを理由に「後は任したでな」などと離脱してしまう。
また俺らに丸投げで逃げやがったな!
小島は、近藤の重ね重ねの無責任ぶりに腹が立った。
小島たちは、この時点でまだ須弥代に昭善を殺したことを伝えていないし、須弥代自身も殺すつもりであることも本人に伝えていない。
しかし、須弥代はとっくに彼氏がこの世にいないことに気づいていたし、自分も殺されるであろうことにも感づいていた。
そして、それを望んでいた。
一行が喫茶店などを経て、一昨日カップル狩りをした金城ふ頭に寄った時のこと。
徳丸に見張られてフラフラと外に出た須弥代が、叫び声を上げて突然海に向かって走り出したのだ。
海に飛び込むつもりである。
「お前、ナニしとんだて!!」
ここで死なれるのはかなりまずい、死体が発見されないように真夜中に、どこかで殺して埋めるつもりなのに。
取り押さえて車の中に押し込んだ。
「お兄ちゃん殺したでしょ!?わたし、もう生きていけないいい!!!」
「家帰したったって言っとるが!」
見え透いたウソをここでも言い張ったが、すでに昭善の死を確信していた須弥代は、悲嘆のあまり後追い自殺を図ろうとしていたのだ。
しかし、このあまりに悲しい行動は、人をいたぶるのが大好きな極悪少年少女たちのサディズムの炎に油を注いでしまった。
「私たち、本当に愛し合っていたんです」アピールもカンにさわったし、悲しみに打ちひしがれて泣きわめいている姿を見て、もっともっといじめてやりたくなってきたのだ。
悲しみを踏みにじる悪魔たち
その後、小島たちはグループのたまり場にしていたアパートに転ずるや、失意のどん底に打ちひしがれる須弥代をリンチ。
「ナニ勝手なことしとんだて!バカ女!!」「死にたいなら殺したる殺したる!」「“お兄ちゃんお兄ちゃん”やかましいじゃい!」「オラ!泣いてんじゃねえ!すんげれぇムカつくわ!」
男には強烈なパンチや蹴りを見舞われて吹っ飛び、女には髪の毛をつかまれて、口汚くののしられながら顔をはたかれて踏みつけられる。
事件後、階下の住民はこの時にドスーンと大きく響く物音を何度か聞いたと証言しており、孤立無援の須弥代に、かなり情け容赦のない暴力が振るわれていたようだ。
さらには、ここで雄獣の徳丸がまたも須弥代をレイプ。
どうせ殺すんだから、こんなやつ何やってもいいと小島はじめ他の奴らも考えていたらしく、筒井も同性が蹂躙されているにもかかわらず「好きだねえ」などと笑っている。
人生最後の日にも関わらず、須弥代は尊厳を踏みにじられ、痛めつけられ続けた。
同日22時ごろ、小島たちは徹底的にいじめ抜いた須弥代を連れてたまり場を出発し、22時40分には高志と合流。
そこで小島は昭善をすでに殺害したことを話し、車のトランクに入った死体も見せた。
「え!?マジ?あの野郎、ホントに殺ってまったんか!?…ホントや、死んどる」
「女の方も殺らなかんでよ。あとはどこでやって、どこに埋めるかなんだわ」
小島と徳丸に高志も加えた男3人で、殺害場所と埋める場所の話し合いが始まった。
車の中には、生きる気力を失ったほどやつれはてた須弥代が龍造寺と筒井に見張られて乗っている。
「富士の樹海とか…、あかん、遠い。明日朝早いから事務所行かなかんで」
「三重の山奥にせんか?オレ、あそこよう知っとるんだわ」
小島の言う三重の山奥とは、現在三重県伊賀市の山林のことである。
彼は、そのあたりに土地勘があったのだ。
「ほんならそこにしよか」
徳丸と高志はその案に同意し、23時10分ごろに高志も加えた一行は三重県に向けて出発。
須弥代にとって、絶望のドライブが始まった。
死者の尊厳などお構いなしの鬼たち
目的の場所に着いたのは、翌25日の午前2時ごろ。
それは、車一台がやっと通れるほどの林道を進んだ先にあり、両脇はうっそうと茂る山林。
須弥代はタオルで目隠しをされており、小島ら男3人は外に出て、道から7メートルほど奥に入った場所で懐中電灯を照らしながら、死体を埋めるための穴を掘り始める。
そのころ、車中に待機していた龍造寺は、「なんか最後にしてほしいことあったら言やーて」と須弥代に聞いた。
もうここまで来た以上、生かして帰すつもりがないことを隠す必要はないのだ。
すると、「お兄ちゃんの顔が見たいです。お兄ちゃんと一緒に埋めてください」と、弱々しく悲しい答えが返って来た。
金城ふ頭で海に飛び込もうとしたくらいだから、とっくに覚悟を決めていたのである。
「あっそ」「もうええて、そういうの」と、不良少女二人は冷淡だったが。
一時間後、大人の男女を十分埋められるだけの穴かできた。
作業を終わって車まで戻って来た徳丸は須弥代に「最後の飯だで、食べや」と、途中で買った握り飯と缶ジュースを渡す。
徳丸は三回も須弥代を犯したことから分かるとおり、自分勝手にもお気に入りにしていたらしい。
ここへ来るまでの車中でも、自分の膝の上にのせていたりしていた。
嫌らしさがふんだんに混じったやさしさである。
それに対して、須弥代は「私と一緒に埋めてください。天国でお兄ちゃんと食べます」と涙ながらに答え、改めて「お兄ちゃんの顔を見せてください」とお願いしてきた。
「見せたれ」
鬼の小島は、鼻白みながらも徳丸に車のトランクを開けさせて昭善の死体を懐中電灯で照らすと、目隠しを外されて、それを見た須弥代は死体にすがりついて泣き始めた。
昭善の死体はまだ縛られたままだったので、須弥代がそれをほどこうとしていたが、「勝手なことすなて!」と無情にも阻止されてしまう。
午前3時ごろ、小島は厳寒にもかかわらず、須弥代を裸にして再びタオルで目隠し、掘った穴の前に座らせた。
この時、須弥代はずっと無抵抗でされるがままだった彼女らしからぬことを、犯人たちに言っている。
「どうしてこんなひどいことするんですか?警察に捕まらないと思っているんですか?」これは、きっと非道な犯人たちへ発した彼女なりに精一杯の抗議だったんだろう。
そして「やるなら、ひとおもいにやってください」と言った。
暴虐の限りを尽くされた結果、命乞いするほどの生きる気力は、もう残っていなかったようだ。
小島と徳丸は昭善の時と同じように、焼き切っておいたビニールひもを須弥代の首に二重に巻き付け、高志に懐中電灯で照らさせて互いに引っ張る。
須弥代は「やるならひとおもいに」と言っていたが、望み通りにはいかなかった。
ビニールひもが外れるなどのハプニングがあったりして、苦しむ時間は昭善より長引くことになる。
しかも、一回殺人をクリアしている小島と徳丸はすでに慣れてしまっており、「がぁぁぁぁ~げぇぇぇぇ~」と、若い女性が発しているとは思えないほどグロテスクなうめき声を上げて苦しむ須弥代の首を絞め続けながら、「綱引きだぜ」と笑みすら浮かべて前回同様ふざけはじめ、高志にも「お前もやってみろや」とか言って余裕ですらあった。
殺人を一回犯して度胸がついたらしく、ただでさえ悪い奴らが余計に悪くなってしまっていたのである。
結局30分もかかって須弥代は死んだ。
殺してしまった後も、犯行グループの悪ノリは止まらない。
誰が言い出したかは分からないが、穴に須弥代の死体を生前の願いどおり昭善の死体とともに入れた後、カップルの死体なんだからと、お互い抱き合っているような状態にしたのだ。
二人とも理不尽に命を奪われて、なおも弄ばれたのである。
もはや、人間として扱わなくてもよいほどの鬼畜である。
「お兄ちゃんと一緒に埋めてもらえてよかったな」「もう天国着いたかな?」「ハメ合ってるように埋めれば、よかったんちゃう?」「ハハハ!悪い女やな~」などと、ふざけたことを言い合い、全く悪びれていない。
午前3時30分、死体を埋め終わって落ち葉などをかけ、現場に遺留品が残っていないことを確かめた悪魔たちは現場を離れた。
続く
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