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残念な北欧の貴公子

顔写真は本人ではありません。イメージです。

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昔、知り合いの知り合いにデンマーク人留学生がいた。

デンマークの大学で日本語を専攻後に来日した24歳くらいの青年で、確か名前はスベン。

そのスベンとは一回だけ顔を合わせる機会があって、それは共通の知り合いに誘われた飲み会の席であった。

飲み会の会場は大手の居酒屋チェーンで、スベンは大人数が座るテーブル席の中央で、日本人ばかりの参加者に囲まれるように座っていたのだが、一目で分かった。

なぜなら、彼は金髪に碧眼、透けるように白い肌という典型的な北欧系の青年だったから黒髪の黄色人種たちの中では目立つことこの上ない。

おまけに、近世の北欧の貴公子もかくありやと思わせるくらい品のあるハンサムな若者でもあった。

かと言って決して軟弱ではなく、衣服の上からも明らかに分かる広い肩幅と熱い胸板に太い腕の持ち主で、スポーツも得意なんだそうだ。

しかも他の日本人と話しているのを聴くと、日本語がべらぼうに達者であり、他にも五か国語くらい話せるという極めて明晰な頭脳の持ち主でもある。

まさに非の打ちどころのない青年だと言えよう。

だが、そのスベンにも残念なところがあった。

それは、言っては悪いが致命的と思わざるを得ないくらいのレベルのだ。

それは、

デンマーク人なのに身長が163cmしかなかったのだ。

最初私がついた席の対面に座っていたので気づかなかったが、彼がトイレか何かで席を立った時に初めて気づいた。


座っている姿だけを見たらデンマーク人らしく、普通に180cmくらい余裕でありそうな風格なのに、立ち上がって歩き出したら明らかに背が低かったからだ。


一緒のタイミングで立った隣の女性(むろん日本人)の方が微妙に背が高い。

他の人もそう思った人がいたらしく、すでに酒が入っていたとはいえ、戻ってきた本人に直接それをツッコむという無礼を働いていたが、スベンは「よく言われますよ」と表情も変えずにネイティブレベルの日本語で軽く流した感じだった。

できた男だ。

190cmオーバーがゴロゴロいる母国のデンマークで、身長が163cmしかないという彼は、肩身が狭い思いをしなかったはずがないのに、その表情と対応から気にしている様子を感じない。

170cmが平均身長の国で、1cm平均に達しなかっただけで、障害者に生まれたがごとくコンプレックスにさいなまれ続けている身長169cmの私とは、えらい違いである。

その後、宴もたけなわとなり、酒も進んできた。


スベン君はさすが北欧系だけあって、ビールを何杯飲んでも表情が少しも変わらなかったが、だんだん饒舌にはなってきた。

デンマークはこんな国だの、将来母国の大学で教授になりたいだの、全くさっきと変わらず流ちょうな日本語で皆と話していたのだが、そんなスベン君は、会話の中で前年日本に来たばかりの時に、非常に衝撃を受けたことがあることをぽつりと吐露した。

「初めてナリタに来て、デンシャに乗った時ですね、私はとてもショックなことアリマシタ」

その“ショックなこと”は今でも尾を引いており、今でも日本人に対する深い失望感であり続けているという。

何か日本人に悪さをされたんだろうか?

いや、日本人は西洋人にはビビるはずだから、あからさまなことはせんだろう。


遠巻きでよそよそしい態度ならよくとるが、それを嫌がる外国人もいるから、それだろうか?

などと一瞬考えたが、スベンが語る日本人への失望感とは、

日本人が予想外に大きく、自分がこの国でも小柄だと思い知ったことだった。

何でも、日本に来る前に日本人は自分より小さい者ばかりだろうと信じていたらしい。

先ほど低身長であることを気にしていないそぶりを見せていたが、実は相当気にしており、母国では一般の女性より背が低いことから、みじめな思いをしてきたという。

デンマーク人よりはるかに小柄な日本人の国に行けば、自分も晴れて大柄な男として胸を晴れるだろう


と期待に胸膨らませてきたところ見事に裏切られたわけだ。

ナメられたものだ日本人も。

むろんそれだけの理由で日本語を専攻して日本に留学したわけではないのだろうが、

「私は世界のどの国に行っても小さいことがワカリました」とか、


「80パーセントくらいの日本の男のヒトは私よりオオキイ」とか、


「イマの日本の男の平均は171cmで私より8センチもオオキイ」とか

自身の感覚から具体的な統計まで出してグタグタ愚痴を垂れ続けるので、実際の身長より小さい男に見えてきた。

どこの国でもこういう奴はいるらしい。


気持ちは低身長の私も痛いほどわかるが。

それでもスベンは日本が気に入っているし、来てよかったと思っていると一転表情を明るくして断言した。

「ダッテ、最愛の人を見つけたからデス」

と、先ほど同時に席を立った隣の女性を指した。
どうやら交際しているらしい。

“最愛の人”とされた女性が照れ笑いし、酒の入った他の参加者たちも「おお」と拍手したりして悪ノリする。

だが、すかさず最後にポツリと、

「デモ、ワタシより背が大きいのはヨクナイ」

やっぱりどの国でも人間というのは変わらない。


身が小さいと心も小っちゃくなりがちなのが人情なようだ。

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柿ピーと日本経済

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酒を飲む時、結構な確率で柿ピーをつまみにしている。

特に好きってわけじゃないが、何にしようか迷ったら必ず柿ピーを買っている。

柿ピーと言えば、「亀田の柿の種」が真っ先に思い浮かぶ人が多いことだろう。

だが、私は「亀田の柿の種」だけは絶対に買わない。

なぜなら同商品は、私が理想とするあるべき姿の柿ピーではないからだ。

理由はピーナツが少ないから。

「亀田の柿の種」は他の柿ピー製品と比べても、ピーナツの割合が低いと思う。

柿の種とピーナツの比率は 7:3 だと標榜しているが、私は視覚的にどんなひいき目に見ても 8:2 くらいに見える。

だから私的には「亀田の柿の種」は論外。

では、他社の柿ピーはどうかと言うと、やはり私の理想とする柿の種とピーナツの比率ではない。

私の中での柿の種とピーナツの黄金比率は 4:6。

3:7 でも構わない。

つまり柿ピーと言うよりも、ピーナツ優勢の「ピー柿」であることが望ましいのだ。

だが、世の人々は柿の種派が多数派らしく、どの柿ピー製品も柿の種優勢である文字どおり「柿ピー」ばかりが市場に並んでいる。

だから私は柿ピーを買う時は、

いつもピーナツも一緒に買って来て、それを柿ピーに足して「ピー柿」にしてから食べている。

そんな強引なマネをしている。

だが、実はそんなことをしなくてもよかったことを最近知った。

市販されているのを発見したのだ。

ピーナツ優勢の柿ピーが。

普段あまり行かない『食品館あおば』で偶然見つけたその商品、名前だけで瞬殺された。

その名もずばり「ピー柿」。

何というまんまであろう。

『ピーナツ好きにオススメ!ピーナツたっぷり 60%』、私の理想とする黄金比率とも一致する。

渡る世間に鬼はない。

日本は柿の種派の一党独裁ではなかったのだ。

長年存在することさえ期待することがなかった商品が市販されていた事実に、日本の市場経済の良心と光明を見た。

衝動買いをしたのは言うまでもない。

だが、家に持って帰り、改めてよく見てから気づいた。

なんか、言うほどピーナツ多くないんじゃないか?

袋を破って皿に開けてみた。

やっぱりピーナツ少なくね?

数えてみた。

結果、柿の種:ピーナツ = 230:138。

騙された!

なにがピー柿だ!

どこがピーナツ 60% だ!

普通に「柿ピー」じゃないか!

もしかしてピーナツの重量が 60%?

いや、個数で測るべきだろう。

私は結局いつもどおりピーナツを新たに買って来てピーナツを増量させながら、少数派の消費者の硬いニーズにすら答えられない日本企業と、それを包括する日本経済の将来に失望を感じざるを得なかった。

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