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なぜ中国語が聞き取れないのか?
「中国語の文章ならば分かるけど、聞くことができない」
「中国人の中国語が速すぎて耳が追い付かない」
「中国語検定の筆記は自信あるけど、ヒアリングはダメだ」
中国語を始めたばかりの方は当然として、ある程度学習した方の中にも、こういった悩みを抱えていらっしゃる方は多いのではないでしょうか?
わかります。
中国語通訳者・翻訳者の私は、よく中国語学習者の方からよくそういった相談を受けますし、私自身もかつてそうでしたから。
留学すればいい、なるべくたくさん中国人と話せばよいとおっしゃる方もいらっしゃいますが、私はお勧めしません。
留学にはお金もかかりますし、仕事しながら学習していらっしゃる方には無理です。
中国人と話すと言っても、そもそも聞き取れないのに、中国人と中国語でコミュニケーションになるんでしょうか?ヒアリング力があまりに低いからと、なかなかコミュニケーションに踏み込めない方も多いのではないかと思います。
第一、私自身に中国への留学や長期滞在の経験がなく、あまり積極的に人に話しかける性格でもありません。
私は主に参考書のCDを使ってヒアリング力をつけました。
ですから、参考書だけでもヒアリング力の向上は可能であると確信しています。
相談を受けた時、私はいつもそういった自宅での独学を軸とした基本的なヒアリング力の習得方法をアドバイスしています。
具体的にどのように学習すればよいかのアドバイスをする前に、なぜ中国語が聞き取れないのでしょうか?文章だったら読めるにもかかわらず。
それは簡単。中国人の話すスピードで話すことができない からです。
そのスピードで話せない以上、聞き取ることは不可能であると断言できます。
ヒアリング力はスピーキング力とかなり比例する のです。
ですから、ヒアリングの訓練にはまず短い文章でもいいから、中国人と同じスピードで話せるようになることが必要なのです。
私の場合、その訓練は主にシャドウイングという手法を使って行いました。
シャドウイングとは、CDの音声が言うことを同時に言うというものです。
まずは一つの例文をCDの音声に合わせて、慣れないうちは文章を見ながら言い、最終的には音声のみでその音声と同時にその例文を言えるようになるまで行います。
補助的に、紙にその例文を書くこともお勧めします。
その例文に慣れたら、もちろん次の例文で同じようにシャドウイングです。
舌がもつれて、なかなか中国語が出てこないかもしれませんが、それは舌や顔の筋肉が中国語の発音に慣れていないからです。
慣れるまで繰り返してください。
筋肉は鍛えれば発達し、それに適した動きをするようになるのは言語も同じなのです。
このシャドウイングを毎日行うことによって、脳内に生きた中国語の音声のネットワークが作られ、音声情報として脳内に記憶することができます。
つまりヒアリング力向上のための確実な第一歩が踏み出せるわけです。
最初は短い文章のものが良いでしょう。
しかし、付属のCDは中国人と同じスピードで発話するもの でなければいけません。
私は様々な参考書を試しましたが、シャドウイングに特化した教材としてスリーエーネットワーク発行の『通訳メソッドシリーズ』をお勧めします。
その『通訳メソッドシリーズ』の中でも初級者の方にとってこれ以外にはないと自信を持って推奨できるのは『通訳メソッドを応用したシャドウイングで学ぶ中国語文法』です。
この『通訳メソッドを応用したシャドウイングで学ぶ中国語文法 』は中国語検定準4級以上3級未満のレベルの方向けと個人的には思います。
1000近くある例文は短いものが多く、ある程度学習したがまだ初級レベルと考えておられる学習者の方には最適です。
当書はシャドウイングに特化した参考書のため、シャドウイングの細かいやり方が書いてありますが、上記の私独自の方法でも大丈夫です。
文法のおさらいや基礎固めもでき、語彙力もつくと思います。
この本での訓練を終えた頃には、十文字程度の短文ならば滞りなく発話でき、当然十分聞き取れるようになるはずです。
ここまで来たなら、中級も目指しませんか?
中級を目指す方向けならば、『通訳メソッドを応用した中国語短文会話800 』をお勧めします。
これもシャドウイングを主眼とした参考書ですが、最初にご紹介した中国語文法よりも文章は長くなります。
私の経験から、この本での学習を終えれば中国語検定3級程度のヒアリングならば十分対応できるようになっていることでしょう。
また、おしゃべりは無理としても、中国人と一問一答程度の短い会話ならばできるようになっているはずです。
中級まで達した方ならば、もう後は放っておいても上級を目指したくなることでしょう。
そんな向上心あふれる方には中級最後の関門、『通訳メソッドを応用した中国語中級会話700 』です。
文章の難易度は完全に中上級で、音声を聞いただけでそれを自分の口で再現できるまで学習したならば、もうかなりヒアリング力は付いていることと思います。
私が当書での学習を終えた頃、中国語検定2級に合格し、中国語でのコミュニケーションはほぼできるようになっていたと記憶します。
他に上級を目指したい人向けの『通訳メソッドを応用したシャドウイングで学ぶ中国語難訳語500 』や『通訳メソッドを応用したシャドウイングと速読で学ぶ中国語通訳会話 』がありますが、初級者の方に特にお勧めしたいのは上記三冊です。
以上はあくまで私の経験を基にしたものですが、独学によるヒアリング力の向上にはシャドウイングが唯一かつ最も有効な方法だと私は確信しています。
習得の速度は個人差があるかもしれませんが、重要なのは毎日続けることです。
語学は毎日続けている人を絶対に裏切らない学問です。
自分では気づかなくても、必ず成長させてくれるのです。
想像してみてください。
中国語で会話できる自分を、中国人の言ってることを理解できる自分を、更には中国語で思考するようになった自分を。
そうなってみたくはありませんか?
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