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2023年 ホスト 本当のこと 東京

どん底からの這い上がり方 ~勝利の女神に貢がせるホスト・涼風つばき~


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歌舞伎町に「涼風(すずか)つばき」という男がいる。

二次元世界の登場人物のリアル版がごとき美男子であることから分かるとおり、職業はホスト。

涼風つばきという名も当然本名ではなく、源氏名だ。

つばきは、『現代ホスト界の帝王』とも称されるローランドがオーナーを務めるホストクラブ『THE CLUB』所属のホストであり、2023年に入ってから三か月連続、売り上げナンバーワンの座に君臨し、五か月で早くも約1億3千万円を売り上げているほどの売れっ子である(ホスト業界では、通常年間1億売り上げれば売れっ子と呼ばれる)。

持って生まれた容貌と話術を駆使しつつ、チャラチャラしながらヒトがうらやむような成功をたやすく手にしているように見える彼だが、ここに至るまでの道は、決してバラが敷き詰められた赤カーペットではなかった。

その前年まで、どん底をさまよっていたのだ。

『THE CLUB』に来る前

1991年に群馬県で生まれたつばきは少年時代、ジャニーズにあこがれていたらしい。

ルックスに自信があって、そこそこ学校で異性にモテてもいた。

しかし、そんな程度の者は世の中いくらでもいる。

履歴書を何度か送ってみたものの、ことごとく書類選考ではねられてしまう。

高校卒業後に東京都内の大学に進学して上京したつばきだったが、ジャニーズはダメでも、とにかく有名になってちやほやされたいとは思っていた。

そんな若者らしい不純な夢を追いかける彼が選んだのは、ホストの世界だった。

だがその店で、つばきはホスト業界の洗礼を受ける。

その店は未成年だったつばきに酒を飲ませ、先輩は何かといえば暴力をふるうなどのパワハラが横行する店だったのだ。

そして売り上げも上がらず、耐えられなくなった彼は、三か月ほどで店を辞めてしまう。

若者の不埒な純情は、現実の前で木っ端みじんにされてしまったのだ。

一旦、大学生活に戻ってあきらめたかに見えたが、やはり未練が残っていたのだろう。

負けん気が人並外れて強い人間でもあるつばきは、再び在学中にホストの道に舞い戻る。

その店の名は『スーパースター』

結果的に、この選択は大当たりだった。

この店には合ったらしく、持ち前のルックスの良さも手伝って売れっ子になり、五年連続年間同店の売り上げナンバーワンを維持するほどになる。

スーパースター時代

しかし次第に、ホスト業界につきもののドロドロとした人間関係に疲れ始め、絶頂期だった26歳の時にホストを引退。

稼いだ金がかなりあった彼は働くこともなく、海外に行ったり、筋トレをやったりして、悠々自適の生活を送り始めた。

一見好きなことをしてのんびり過ごすことは最高なようだが、つばきは、この生活にも苦痛を感じるようになる。

やはり、何も目標も張り合いもない生活には耐えられないのだ。

金も一生遊んで暮らせるほど持っているわけでもない。

もう一度輝きたい。

そして、自分が輝けるのはホストしかないと思ったつばきは、2021年に三年間の放蕩生活に終止符を打って、ホストに戻ることを決意する。

とは言っても、ホストクラブならば、どこでもいいわけではない。

つばきが選んだのは、ホスト界の帝王と称され、TVでも脚光を浴び、YouTubeでも100万人超の登録者を誇って知名度抜群のローランドの経営する店だった。

それに、ローランドは現役だったころに知り合った友人でもあったのだ。

もっともこのころ、ローランドの経営するホストクラブ『THE CLUB』はコロナ禍で自主閉店し、ローランド自身はホストの世界からは遠ざかっていた。

よって、復帰したつばきが入ったのは、ローランド不在の中でTHE CLUBに所属していたホストらが立ち上げた新しい店『THE CICH』であった。

つばきは、すでにこの時30歳を超えており、ホストとしては年齢的に不利ではあったが、腐っても元レジェンドホスト。

他店舗ならばナンバーワンであってもおかしくないほどの売り上げと実力を有したホストが目白押しのTHE CICHでも、入店早々頭角を現し、売り上げナンバー3にまで入る健闘を見せる。

三度目のホスト復帰をしたころ

だが、それは長く続かなかった。

非情な現実、そしてどん底=『もう無理。さよなら』

つばきは、その後も THE CICH でホストを続けたが、売り上げは低迷。

全盛期だったころの水準はもちろん、店内の月間売り上げナンバー10 以内に遠く及ばない状態が続いた。

こんなはずではない、とつばきは焦っていたようだが、もはや時代に取り残されて、世代交代を許してしまった感があった。

つばきがホストに復帰した次の年の 2022年6月、ローランドもホスト復帰を宣言。

新たにオーディションまで開催して新人ホストを集め、休業していた THE CLUB を再開する。

THE CICH で売り上げが低迷していたつばきは、環境を変えてやり直そうと思い立ち、移籍を願い出て、ホスト未経験者も多い新生 THE CLUB に加わった。

ローランドもベテランの彼が新人を引っ張ってくれることを期待したであろう。

売り上げが落ち込んで自信を失っていたころ

だが、部屋の引っ越しまでして気持ちを新たに移った THE CLUB でも、売り上げは上がらなかった。

今まで来てくれていた指名客も途絶えるようにまでなり、売り上げが地に落ちた状態で、THE CLUB が再開してから最初の月である7月の締め日を迎える。

つばきの売り上げは、ホスト未経験だった新人にも抜かれるほど惨憺たるものだった。

友人であり現在は雇い主であるローランドは、再開した店の好調な出だしと新人の躍進を喜びつつも、この結果を黙って見過ごしてはいない。

営業が終わった後に、つばきと他の売り上げが低迷するベテランホストを呼び出して叱責した。

叱責されるつばき

「つばきには何度も言ってる。お前、悔しくねえのか?」

ローランドは、つばきとほぼ同時期にホストになっており、現役バリバリだったころは他店舗だったとはいえ、その実力には一目置いていたのだ。

そんな男が、今や月の売り上げのかかった締め日に指名客も呼べず、ホスト未経験の新人にすら負けているふがいない姿を見て、自分がバカにされている気すらしていたし、なにより友人として心配していたのである。

つばきは「確かに…」としか返す言葉がなかった。

そして、この模様はローランドの YouTube チャンネルである『ローランドショー』のクルーに撮影されていた。

かつて、ローランドと肩を並べるほど売れていたホストだったつばきが、復帰してはみたものの、なかなか思うように結果が出せないさまは、視聴者の興味を引くであろうから見逃すはずがないのだ。

ローランドショーは登録者数 100万人を優に超えるから、その影響力は大きい。

約一か月後にそれが YouTube で公開されるや、日本中の少なからぬ人間の心の中に、かつては売れていたが、もはや時代についていけなくなった三十路ホスト・涼風つばきという印象が残った。

おまけに実際に公開された後、みじめな姿を面白がった心ない視聴者から中傷のDMが、わざわざ自身のインスタグラムやツイッターなどに寄せられるようになってしまう。

これは自分に自信を失い、仕事への熱意をも失いつつあったつばきには、追い打ちとなったようだ。

つばきは、THE CLUB に移ってから自分のYouTubeチャンネル『つばきっす』を開設して動画をアップし始めており、自分が叱責されるローランドショーの動画が公開された直後、自身のチャンネルでも動画を出して苦しい胸の内を吐露した。

しかもその動画の題は『もう無理。さよなら』で、いきなりネガティブこの上ない。

動画の内容はそれ以上にネガティブであり、つばきは終始暗い顔をして「すげーつれー」「どうしていいかわからない」「昭和のホストだとかコメントで書かれた」「オレに明日はあんの?ってカンジ」などと、ひとしきり自嘲気味に弱音を吐き続ける。

そして、カメラの前で泣き崩れた。

語っているうちに、自身のあまりのみじめさに耐えきれなくなってしまったのだ。

ひとしきり男泣きした後、「もう、うまいこと言えねえや、もういいや」と投げやりにつぶやいて、つばきはその回の動画を終了した。

どん底な姿と泣きっ面を自ら世間にさらしたこの男は、もはや立ち直ることはできないだろう。

もう 30歳を過ぎているし、一昔前の平成のイケメンという感じがするつばきの顔は、令和の現代では貧乏神にしか見えない。

視聴者の中には、そう思った者も多かったはずだ。

だが、それは違った。

堕ちるところまで堕ちたこの男は、その後反撃を開始する。

ただいま、ありがとう

もはや再起不能と思われたつばきだったが、ほどなくして『ただいま、ありがとう』と題した動画を上げた。

動画の中のつばきは、まだ暗い顔をしていたが、訥々とこれから立ち直って再びやっていくことを宣言する。

その際の表情からは、未だ落ち込んでいて頼りない感じがしたものの、それからすぐにつばきは行動を開始した。

自分の動画を YouTube に上げる頻度を増やしたのだ。

動画の内容は単に自分が街を散歩していたり、コンビニの商品を食べ比べしたり、THE CLUB の他のホストと対談したりする様子を撮影するといったたわいもないものだったが、とにかく一日も欠かさず動画を更新。

まずは知名度を上げるためである。

当初、暗い顔をしていたつばきも、だんだんと生気を取り戻し始めた。

どうやら、ユーチューバーは性に合っていたらしい。

さらに、ライブ配信をして投げ銭を集めるようにもなった。

集めた投げ銭を自身の売り上げにしようと考えたのだ。

これは、同じ THE CLUB で働く同僚ホストの俊が先に行っていた。

俊は、かなり早い段階で YouTube に個人チャンネルを開設し、すでにライブ配信で投げ銭を視聴者から集め、ホストクラブでは超高額オーダーがあった時のみに出現するシャンパンタワーに使っていたのだ。

また、持ち前のホストとしての実力の高さに加え、YouTube によって知名度を上げて集客にも成功。

これら令和的とも言える最先端の手法を駆使して圧倒的な売り上げをたたき出し、THE CLUB 再開以来絶対的ナンバーワンに君臨していた。

しかも俊はつばきと同年齢の 31歳。

ホストとして年齢的に賞味期限を超えているという悪条件をひっくり返していたのである。

そんな成功例が身近にいるのだ。

同じことをしてみない手はない。

一見冷酷そうな外見と言動の俊も、つばきのことを内心では応援していたらしく、自分のライバルを育成していると分かりつつも自身のノウハウを気前よく伝授してくれた。

つばきは、休日を返上して普段の睡眠時間も削り、YouTube の動画作成やライブ配信に取り組み続ける。

立ち直るために、なりふり構わず猪突猛進していたのだ。

元々熱中し始めたら、寝食を忘れて熱中する気質であったようだが、そのホスト業にかける熱量と思いは視聴者にも十分伝わるほど鬼気迫っていた。

そしてその熱は、運命をも動かす神がかり的な力をもたらすことになる。

勝利の女神を従わせた男

『勝利の女神は勇者に微笑む』

古代ローマ人たちが残した言葉である。

『…用意周到であるよりはむしろ果断に進むほうがよいと考えている。なぜなら、運命の神は女神であるから、彼女を征服しようとすれば、うちのめしたり、突きとばしたりすることが必要である。運命は、冷静な生き方をする者より、こんな人たちに従順になるようである』

16世紀のイタリアの政治思想家・マキャベリはその著作『君主論』の中で、女性差別そのもののきわどい名言を残している。

古より伝わる運を味方につけて勝者になるための法則、それはなりふり構わず積極果敢な行動を取る勇者になることなのだ。

圧倒的な男の凄みで女神たちを怯えさせ、有無を言わさず言うことを聞かせるのだ。

つばきがそれらの言葉を知っていたとは思えないが、彼はまさしく勝者になるための行動をしていた。

そして、古人の教えの正しさが数字という結果の上で裏付けられる。

まずは自身のチャンネル『つばきっす』の登録者数が、開設半年にも満たない 10月に一万人を突破。

YouTube を見た視聴者の中から指名客も現れ始める。

肝心の売り上げや指名本数も上がり始め、10月には売り上げナンバー6 にまで上り詰めた。

ここまでだったら単に比較的よくある「日ごろの努力が報われた」程度のことであったであろう。

だが、いずれかの神の存在を感じずにはいられないような奇跡が、翌月11月の締め日に早くも起きる。

その前日の時点で、すでに THE CLUB の不動のナンバーワンと化してトップを独走していた俊の売り上げとつばきの売り上げは、700万ほど差があった。

いくらその月の店でのランキングが決まる締め日には大金が乱れ飛ぶホストの世界であっても、その差は絶望的なビハインドだ。

常識的に考えて一日で挽回できる額ではない。

だがその日の営業時間、11月度も自身のナンバーワンをほぼ確信していた俊の目が驚愕で見開かれる。

どこかの卓で、800万円分のシャンパンタワーが出現したのだ。

誰だ?

まさかまさか…。

そう、それはつばきのいる卓。

何と 800万円もの大金をつぎ込む超極太客が出現し、一挙に圧倒的な差を埋めたばかりか勝ち越したのだ。

完全に神がかっていた。

もはや、この世のものではない何らかの力が働いているとしか思えなかった。

そればかりか、この日だけでつばきは合計一千万円以上を売り上げ、1290万円だった俊の総売り上げを大きく上回る 1600万円で 11月度のナンバーワンを獲得。

全盛期だった 5年前以来の栄冠を勝ち取った。

しかもホスト人生で最高の売り上げだったから、全盛期を上回っている。

翌日、つばきはライブ配信を行い、その中で感情の振幅の大きいこの男は喜びとともに、これまで味わってきた苦難を語りながら感極まって号泣した。

再び泣いたつばき

そして、奇跡はこれだけにとどまらなかったのだ。

翌12月11日、ローランドが経営するもう一店舗のホストクラブである THE CICH との合同イベント『ザ・バトル』が開催された。

これは、一夜のみで両店舗の売り上げを競うイベントであり、当然ホストも売り上げに応じてランキングされる。

11月ナンバーワンになったばかりのつばきだったが、気持ちを新たに切り替えてこの合同イベントに臨んだ。

店舗の規模も大きく、経験豊富な実力派が数多く揃った THE CICH のホストの中には、「普段は顔を合わせない THE CLUB の人たちと楽しく飲めたらいいですね」などと余裕をかましていたが、つばきだけは戦闘的だった。

「THE CICH の奴ら息してる?誰もオレに突っかかってくる奴いねーのか?」などと、開催前からツイッターで激しく挑発していたのだ。

つばきは、いまだ粗暴な勇者だったのである。

そしてその勇気が再び天を動かす。

『ザ・バトル』で、つばきの指名客の一人が 1000万円以上を使うなどし、この日だけで合計 1500万円を売り上げて、堂々『ザ・バトル』初代ナンバーワンの栄冠を勝ち取ったのだ。

この一連の勝利は誰もがひれ伏し、その顔色をうかがう運命の女神と勝利の女神の両方を、その強引ともいえる行動力で従わせた結果としか思えないものだった。

いや、ホストだけに、両女神とも指名客にしたというべきだろう。

それもオラオラ営業で。

この瞬間から、つばきは完全に復活したばかりか第二の、いや、前回の全盛期が下積み時代に見えるほどの本物の全盛期に突入したのである。

中年の男から見たホスト・つばき

現在 48歳の中年男である私が初めてつばきを知ったのは、去年のことである。

おっさんだから、もちろんホストクラブには縁がなかったし、特に興味もなかった。

たまたま YouTube のローランドショーを見て、つばきの存在を知ったのだ。

ベテランなのにふがいない営業成績しか出せず、ローランドから怒られていた場面からである。

最初は、ゲスな野次馬根性からだった。

この情けない奴がどんな男なのか気になって検索したところ、彼が自身の YouTube チャンネル『つばきっす』を持っていることを知ってのぞいてみたのだ。

すると、つばきは早くもローランドショーで情けない自分の姿を取り上げられた件に関するくだんの動画『さよなら、もう無理』をアップしており、泣き言を言い続けた後で本当に泣き始めた場面に出くわした。

「30越えてるくせに泣くなよ。情けねえ野郎だ」

それが、その時の私の率直な感想だ。

30越えていたらもういい歳、ホストをやるには厳しいのは私でもわかる。

そろそろ他の道探せよ。

だが、私もその時ヒトのことを言っていられなかった。

当時従事していた事業の中止が宣告されて所属する部署の解散が決定、私は失業まで秒読みとなっていたからだ。

かと言って新たな仕事を探す気力もなく、宙ぶらりんだったのである。

私も、つばきとかいうホストと似たり寄ったりだ。

だからだろうか。

あの泣き虫三十路ホストのその後が少々気になりはじめた。

数日後に YouTube を見てみたら動画を更新して姿を現し、その中でまだ暗い顔をしながらも、これから立ち直っていくことを報告したのを見た時、少しほっとした気がした。

それからだ。

知らず知らずのうちに、彼が毎日出す動画を見るのが日課になってしまった。

そこで、私を含めた視聴者は三か月にわたってリアルタイムで目撃し続けたのだ。

万年絶不調で、このまま消えていくと思われた男が立ち上がる姿を。

立ち上がるや、何らかの未来を信じて遮二無二走り続ける姿を。

さらに、11月末から起こした一連のシンデレラストーリーを。

たった三か月で、このどん底にいた男は圧巻の復活劇を見せつけたのだ。

それは、同時にどん底にいる者たちへの啓示でもあったと思う。

這い上がるためのなりふり構わぬ行動力と熱量は一見定められたかに見える運命をも動かすことがあるのを教えてくれたのだ。

私も彼に動かされた。

もう 47歳になっていたが、あのつばきが立ち直ったように、私も再就職活動を改めて始めたのだ。

お祈りメールが送られたり、履歴書を送ってもなしのつぶてばかりだったが、彼がなかなか結果も出ずアンチからの嫌がらせにも屈しなかったように私も応募を続けた。

2023年 6月現在、私は某医療機器メーカーに職を得て勤務している。

新しくついたこの仕事だが、覚えることが多すぎて自分より一回り年下の上司にできない奴だと思われて今もてんてこ舞いだ。

だが、私は信じている、そして知っている。

継続は力なりが本当のことであったことを。

食らいつき、前進し続ければ必ず報われる日が来ることを。

つばきが三か月かけて教えてくれた。

自分が高校生の時に生まれた男に導かれると思わなかったが、彼を見つけることができて本当に運が良かった。

どん底から這い上がる姿を目の前で、しかもリアルタイムで見せつけて勇気をくれたことに感謝している。

そんなつばきは三か月連続ナンバーワンを取ったものの、現在は 4月、5月と二か月連続でナンバー2に甘んじてしまっている。

だが、もう心配はいらない。

彼なら、きっとナンバーワンに返り咲いてくれるだろう。

あれほどの奇跡を起こした男なら、またやってくれるに違いないと信じている。

出典元―

『つばきっす(https://www.youtube.com/live/btjhgzrUseE?feature=share)』

つばきっす

『THE ROLAND SHOW(https://youtu.be/Ihm9LBbtS8I)』

THE ROLAND SHOW

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2023年 ガジェット コンピューター 認定資格 趣味

Udemy を自動翻訳する方法


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Udemy は IT技術を含め、さまざまな内容を学習できる便利なサイトです。私もIT技術を学ぶために活用してます。

私が使っているコンテンツのほとんどは、AWS か Azure の試験向けのものなのです。非常に人気のある基礎や初級向けのものですと日本語で提供されているものが多いのですが、中級以上の内容になると、英語やその他の言語でしか提供されていないものがほとんどです。

Udemy の動画には、翻訳して字幕をつける機能もあります。ですが、日本語の字幕がないものも結構あります。私が今受講しているコースもそれです。

英語で受講しても分かるのですが、やはり疲れます。そんな時に便利な機能を見つけました。

これです。

Video CC Translator

Udemy や YouTube を自動で翻訳してくれる Google Chromeの拡張機能です。使い方も簡単です。

Video CC translator の使い方

Video CC translator のページにアクセスし、Google Chrome に拡張機能を追加します。


今回は Udemy の翻訳のみをしたいので、Udemy のみを有効にします。

Udemy の画面を開いてコースを開始すると、動画のウィンドウの右下にVideo CC translator のアイコンが追加されているのが見えます。表示されない時は、ウィンドウをリフレッシュするか、Google Chrome を再起動した方が良いです。

Video CC Translator のアイコンをクリックして、メニューを表示させます。

CCが、Udemy 側のビデオで表示する言語です。私が今回受講しているコースの言語は英語で、字幕も英語で表示させています。

その下の白と黒のマークのところが、Video CC Translator で翻訳した結果として表示したい言語です。ここで日本語を選択します。

設定をするとすぐに、日本語の字幕が表示されます。見事に翻訳されました。

でも、これでは画面に字幕が被ってしまって、コース内容の動画が見にくいですよね。

一番下の「Caption Settings」をクリックします。

セッティングメニューを開いたら、一番上の「Display under video」を有効にします。

有効にすると、が動画ウィンドウの下に移動します。これで邪魔にならなくなりました。

この拡張機能は便利ですね。コースの内容を理解することに集中できます。今後も活用していこうと思います。

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2021年 おもしろ 本当のこと

のぞき魔をのぞく者


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通勤ラッシュを迎える平日午前七時半頃の小田急線。

私は狛江駅から各駅停車に乗って二駅目、成城学園前駅で降りて通勤快速新宿行きに乗り換えている。

成城学園前駅に列車がやってくると、今朝もすでに客で立錐の余地もないほどの車内に、後ろの客にも押されながらなだれ込む。

成城学園前駅で通勤快速の乗車率がマックスを迎えるらしく、車内はギュウギュウ詰めとなる。

車内でマンガを読む男

そんな満員電車の中でも前の客との空間を利用してスマートフォンを見たり、本を読む乗客がいるものだ。

とある通勤ラッシュ時、私の前に立っていた男もその一人であった。

彼が読んでいたのはマンガだ。

私はその男の斜め背後に立っていたために、その肩越しにそのマンガの内容が否応なしに視界に入ってきた。

別に盗み見るつもりは全くなかったのだが、ついついそのマンガを読み始めてしまう。

何やら中世のヨーロッパを舞台にした作品のようだが、結構面白い。

逃亡中の高貴な身分の姫と護衛の騎士が、ある関所を通り抜けようとしている。

その関所の代官は優しい顔をしているが根は極悪非道で、ちょっとでも怪しいと思った者を徹底的に拷問したあげく処刑してしまう。

護衛の騎士は何とか姫の身分を隠し通して関所を抜けようと知恵を絞るが、疑り深い代官に怪しまれ…。

読んでいるうちにハマってしまい、いつもトロトロなかなか進まないように思える通勤快速が、本当に快速に思えてきた。

もう電車は次の降車駅とのほぼ中間、経堂駅を通過。

しかし、イラつく読み方をする奴だった。

まだこっちが読み終わってもいないのに次のページに進んだり、

そうかと思えば、

こっちがとっくに読み終わったのになかなか次のページに進まなかったりする。

その止まっているページでは護衛の騎士がすでに殺されており、正体がばれてしまった姫は代官の兵隊たちに捕まっている。

早く次のページめくれ!

だが、そいつは次のページに行くどころか、

あろうことか何ページか前に戻ってじっくり読み直しを始めた。
この野郎!

もう電車は梅が丘駅を超えて停車駅である下北沢に近づきつつある。

そいつの本だし、のぞき見してる立場上「早く次のページ読ませろ!」と怒るわけにもいかず、私はやきもきしながら元のページに戻るのを待った。

騎士が代官の命令で部下とサシで決闘させられるページ、ハイ!そこはもう読んだ。

次は代官の部下を騎士は負傷させるが返り討ちに遭って殺されるんだよな、早く次!

姫が叫び声をあげて正体がばれる場面、よし!元のページに戻った!

そうこうしているうちに電車は下北沢駅に到着、男はまだマンガを見ている。

よかった、下北沢駅では降りないようだ。

さあ、お待ちかねの次のページだ!

これから姫はどんな目に遭わされるんだ?

しかーし!

男は駅に着いたことに急に気づいたらしくハッとして、マンガを閉じ、カバンにしまいやがった!

「おい、ちょ…」

思わず声を出しそうになった私を男はチラっと見たが、そのまま電車を降りて何事もなかったかのように降車する客たちの中に消えていった。

せっかく面白いところだったのにそりゃないだろ!

事実上ののぞき見なので責めるわけにはいかないが、それでもいたぶられたような感じがして釈然とせず、その日はあのページから先が気になって午前中いっぱい仕事にならなかった。(一か月後に作品名が『狼の口 〜ヴォルフスムント〜』だと知ったが)

ちなみに、視界に入ってそのまま読みふけってしまうのはマンガとは限らない。

ニュースだったり、問題集だったり、メールの内容だったりもする。

LINEをやる男

別の日に私の目に留まったのは、マンガ男と同じように私の前に背を向けて立っていた初老の男が持つスマートフォンで、そこに表示されたLINEのトーク画面だ。

マンガと違って個人情報ののぞき見だから許されざる行為だが、私の視界正面にあるんだから仕方ない。

悪いと知りながら、どんなやり取りをしているのか目を凝らして見るが読めない。

それもそのはず、トーク内容はすべてアルファベットだったからだ。

すげえ!英語でトークしている。

目に映る初老の男の背中が、知的なオーラで包まれて心なしか威厳に満ちていた。

このご老体がどんなやり取りをされておられるかますます気になったので、その英文を目で追うがピクリとも解読できない。

どうやら英語ではないらしい。フランス語?ドイツ語?

ますますご老体の背中から発っせられる後光の輝度がまばゆいばかりになった気がする。

お、ご老体が返信をしておられる!

私に読めるはずもないのだが、ゆっくりと入力される文字を思わず目で追った。

どれどれ「Sore」、次が「deha,mata」、そして「kaishade」か。

Soredeha,matakaishade…。

ソレデハ、マタカイシャデ…。

「ローマ字じゃねえか」

とたんに、初老の男の背中が放つ後光が消灯し、強烈なみすぼらしい加齢臭がしてきた。

さっきまで注いでしまった尊敬の念を返せ、と言いたい。

小声で「ローマ字…」と不用意に口を突いて出た言葉が耳に入ったらしく、ジジイはムッとした顔で振り返り、スマートフォンを隠した。

はいはいのぞいて悪かったね、もう見ないよ。

もう興味もなくなったし。

のぞいた私が言うのも何だが、満員電車内で本やスマートフォンを見る際は、背後の人間の目に入るというリスクも考慮すべきではないだろうか。

自分だけの世界に没頭して無防備でいると知らない間に私のように背後に位置する人間に自分の世界へ侵入され、勝手に暇つぶしに利用されたり評論されたり、あまつさえ非難されたり見下されたりすることもあるのだから。

YouTubeを見る男

そうは言っても、やはり満員電車で長いこと立っているだけは確かに退屈だ。

やはり本かスマートフォンを見て時間をつぶしたい。

私はそんな時、よくスマートフォンでYouTubeを見ている。

私が今回見ているのは、自然界や動物園で偶然撮影された動物異種格闘技戦

ライオン対トラ、クマ対トラなどの食物連鎖の頂点に君臨する大型猛獣同士のガチンコ対決はやっぱり血が騒ぐ。

今回発見したのはゾウ以外では最強と個人的に信じていたサイと、見かけによらずかなり危険な猛獣であるカバのスーパーヘビー級ドリームマッチだ。

サイ派の私は、サイの圧勝を期待していた。

手に汗握りながら見始めたが、大きく口を開けて威嚇するカバにサイがあっという間に屈服、背を向けて逃げ始めたところをカバに追い打ちをかけられている。

くそ!サイの負けかよ!
「よし!カバの勝ちだぜ!」

突然そんな声が耳元で聞こえたので後ろを振り向くと、そこにいたのは全く見知らぬ中年の男。

カバ派らしく、心なしか勝ち誇った顔をしている。

しょっちゅう人様のプライバシーをのぞいていた私がのぞかれていた!

相手がカバ派だけに、二重の意味で負けた気がした。

やっぱり私も背後に気をつけねばならんようだ。

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